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2019-06-27 00:00
(連載1)年金問題で安倍政権は堂々と反論を
中村 仁
元全国紙記者
老後の生活設計に欠かせない年金問題について、極めて正直、的確な報告書を金融審議会がまとめたのに、政権与党は撤回するという。野党は選挙対策で追及できる失点が浮上したと大喜びです。ともに国民不在です。与党も与党、野党も野党です。このような問題こそ、選挙の争点にせずに、超党派で対策を練るべきです。揚げ足取りばかりに熱中する野党はまあ、乗ってこないでしょう。本来なら、野党側も年金の将来計画の案をまとめ、与党に迫るべきです。厳しい案しかありえないから、野党は「審議会に諮問した麻生副総理は、報告書を読んだのか、読まなかったのか」と、幼稚な質問しかしないのでしょう。
支持率が50%を超える安倍政権だからこそできる年金改革のはずです。それが「報告書を撤回する」「報告書はもうなくなった」という。年金制度を持続可能にするための提言が、「年金の将来は相当やばい」という印象だけを強く残してしまいました。「報告書が誤解を与えている」というのなら、安倍政権は堂々と反論すべきです。
「老後に年金収入以外に2000万円の資金が必要」とした金融審議会の報告書は、高齢者の年金設計に対する正直な問題提起です。「2000万円か、それ以上か、それ以下か」は、統計の取り方で違いが出るでしょう。安倍政権に対する高支持率は、何のためか。「国民にとって苦い政策も決めるべき時は決めるべきなのに逃げ回る」と、失望している国民は多いのです。
年金制度は、高齢者の生活設計にとって、基本中の基本です。年金、医療、介護などの社会保障は財源の先細りから厳しさを増します。「老後の生活は年金収入だけでは成り立たない」というのが共有されている常識です。貯蓄取り崩し、個人年金の活用、あるいは個人資産の運用が必要です。高齢者がどんどん増え、若い世代の負担は増え続けています。年金の支給開始年齢の引き上げ、年金給付額の引き下げ(年金スライドの発動)、在職老齢年金の見直し、保険料の納付率(現在66%)アップなど、できることはたくさんあります。高齢者世帯(無職)の収入に占める年金収入は66%です。将来はもっと下がるでしょう。総務省の統計では、平均モデルで月収21万円、支出26万円で、毎月5万円の不足です。「貯蓄の取り崩しで補っていくしかない」に、国民は覚悟をしているはずです。(つづく)
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