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2019-06-20 00:00
(連載1)いたずらに年金不安を煽った「赤字2000万円報告書」
加藤 成一
元弁護士
6月3日に金融庁が公表した、金融庁金融審議会市場ワーキング・グループによる「高齢社会における資産形成・管理」に関する「報告書」(全51頁)が参議院選を控え与野党を揺るがす大問題となり選挙の争点に急浮上した。
その発端は、「報告書」10頁の「夫65歳妻60歳の高齢夫婦無職世帯の年金による毎月の実収入は約21万円であり、実支出は約26万円であるから、毎月の赤字額は約5万円となっている。」および16頁の「95歳までの30年間では約2000万円の金融資産の取り崩しが必要になる。」との記載である。早速、立憲民主党、共産党などの野党は、年金だけの生活では30年間で約2000万円もの赤字になるから、「百年安心」の年金制度は「ウソ」であり「破綻」したと政府自民党を激しく攻撃している。
確かに、もしも、夫65歳妻60歳の高齢夫婦無職所帯が95歳まで生きた場合には、今後公的年金だけでは到底生活ができず、年金以外に別途約2000万円も必要だとすれば、もはや公的年金が老後の収入の柱であるとは言えず、年金制度は破綻したと言わざるを得ないであろう。なぜなら、一般国民にとって不足額2000万円は大金であり、比較的賃金が低く退職金もなく雇用が不安定な派遣労働やパートなどの非正規労働者が全労働者の4割にも達する現在においては、2000万円の貯蓄は容易ではないから、公的年金に頼れないとすれば、老後にますます不安を感じるのは当然であろうからである。
その意味で、「赤字2000万円」は極めて衝撃的であり、野党がこの点で政府自民党を厳しく攻撃追及するのは当然でもあろう。これまで自民党政府は、マクロ経済スライドなどの「年金改革」により年金制度は「百年安心」であると喧伝してきたからである。(つづく)
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