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2019-06-18 00:00
(連載1)政治の召使になった財政理論の限界
中村 仁
元全国紙記者
選挙対策、世論対策を政治が最優先するため、政治に都合の悪い経済理論を避けて、経済理論の都合のいい部分だけがつまみ食いされる傾向が強まっています。そうではなく、経済に対する政治の関与に問題意識を持つ「経済政治学」を踏まえて、経済理論を構築することこそ必要です。
最近では、金融政策が限界にきたため、財政赤字に柔軟な態度をとろうとする「現代金融理論」(MMT理論)、シムズ理論(物価水準の財政理論、FTPL理論)が登場しています。米国発の理論で、財政赤字問題に直面している日本の政治の側が関心を持っています。似たような言葉に「政治経済学」があります。「政治経済学」(ポリティカル・エコノミックス)も「経済政治学」(エコノミカル・ポリティックス)も、学者によって定義は多様です。ここでは、政治の側から経済体制・政策をどう動かそうとしているのかを考えるのが「政治経済学」、経済の側からみて政治がどのように関与しているのかを考えるのが「経済政治学」としておきます。
経済政策、経済体制のあり方を政治が主導する傾向が世界的にますます強まっています。「経済が政治の僕(しもべ)」「経済が政治の召使」になっているのです。それにもかかわらず、もっぱら経済の枠内で考えてしまう「純粋な経済理論」には、欠陥が多いと思います。政治に都合のよい部分をつまみ食いされ、政治に都合の悪い部分が忌避される。「経済理論が理論的に正しいかどうか」より重要なのは、「提起された経済理論が政治の側からの関与をどの程度、考慮しているのか」を考えることだと、思います。
安倍政権が関心を持っている「現代金融理論」は、「自国通貨を発行し、自国通貨建てで国債を発行できる国は、インフレ率が上昇しない間は、財政赤字を気にすることなく、歳出を拡大できる」と要約できる。あるエコノミストの見方です。問題になるのは、「インフレ率が上昇しはじめたら、財政引き締めに転じることができるか」でしょう。歳出を拡大すれば、世論に歓迎され、選挙にも好都合です。一転して歳出を削減できると考えるのは理論上のことです。政治的な現実問題として、困難が伴います。歳出の抑制も、増税による歳入増も、有権者の抵抗にあい、政治は逃げ腰になります。(つづく)
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