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2019-06-07 00:00
(連載2)米国依存の日本、日本依存の米国
中村 仁
元全国紙記者
破天荒にしか見えないトランプ外交について、「国際的ルールを無視する共産党独裁の中国のような国と対決するには、トランプ流の強引さも必要悪」という見方が存在します。その中国でも「米国が圧力をかけてくれたほうが、中国の近代化には役立つ」という声があるらしい。かつての日本にも米国からの圧力、つまり外圧がないと、経済・産業の体質改善が進まないという時代がありました。
乱世に入った国際政治、国際経済を乗り切るには、「トランプ=悪玉」論だけでは分析できません。「悪玉」であっても、使いようでは「善玉」になります。日本を見下す中国と対決するには、単独では無理です。トランプ氏の腕力をちらつかせ、尖閣諸島問題などは、実質的に棚上げにしておく。北朝鮮に対しても同様です。北は核戦力を放棄しまい。放棄しなくても、交渉の場を絶えず用意しておくことで、核戦力を事実上、凍結状態に置く。
米国の力をうまく使うことです。新聞論調を読むと、朝日新聞の先月28日社説は「もてなし外交の限界。対米追従より価値の基軸を」が見出しです。「いくらトランプ氏に抱きつき、個人的に良好な関係を深めたとしても限界がある」、「トランプ氏に擦り寄るだけでは、国際社会における日本の責務は果たせない」と。日本の限界を知り、米国の力をどう活用するかという視点が欠けています。
読売新聞はどうでしょうか。先月28日一面は本記、3面「首相、橋渡し外交」、4面「参院選にプラス」、6面は識者談話、7面は会談内容と記者会見要旨、8面「日米蜜月、中韓が注視」、社会面「陛下、特別の親しみ」など、8ページが日米関連で埋まりました。同盟新時代が到来するかのようなお祭り騒ぎです。両紙とも、どっしりと腰を据えて、日本の限界を直視し、米国の力をどう引き出していくかを論じてほしい。(おわり)
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