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2019-05-29 00:00
(連載1)米中通商戦争、諸刃の剣の先
岡本 裕明
海外事業経営者
米中関係において、トランプ大統領が本気なのはわかります。習近平国家主席も、引くに引けない状態にあるのも分かります。しかし、それは誰のため、何のため、と聞けば「自国民にとって、今より状況を良くするための一時的な痛み」と説明されるでしょう。今回の通商戦争は、総合力で見れば、アメリカが圧倒的優位にあります。「多少の犠牲を払ってでも勝ち抜くという姿勢を、官民が一丸となって行っている」と考えるならば、日本も学ぶところはありそうです。
この数日のニュースを見ているだけでも、通商問題が直接的、間接的に影響した結果、対中ビジネスをしている企業が苦しくなっていることが、より鮮明に分かるようになりました。フォードが、全世界で7000人のホワイトカラーを削減すると発表しました。昨年の中国販売が半減していることが、その決定に大きく影響している模様です。GMもすでに大規模リストラ案を発表しており、間接的には中国販売の落ち込みに理由があります。さらには、インドのタタ自動車が傘下のJLR(ジャガー、ランドローバー)を売却するのではないか、という根強い噂があります。同社はそれを否定していますが、中国向け販売が落ちこみ、巨額の赤字を計上していることが、その噂の根拠になっています。中国国内での自動車販売低迷は、通商問題が表面化する前からその傾向がありましたが、米中交渉の行方が厳しくなる中で、拍車がかかったものと考えられます。
ブロードコムやクアルコムなど半導体関連企業の、今後の業績下方修正による不振予想も、目を覆いたくなる状態になりそうです。中国向け輸出で稼いでいただけに、減少分をどう振り向けるか、頭が痛いところでしょう。同様に、ソフトを提供していたグーグルも、ファーウェイ製品でグーグル・ドックなどのソフトが今後使えなくなることから、影響の範囲は拡大していくものと思われます。
一方の中国側もアメリカに対抗して、一部の関税を6月1日から大きく引き上げます。その品目には牛肉、羊肉、豚肉製品、各種野菜、フルーツジュース、調理用油、紅茶、コーヒーといった食材がずらりと並びます。大豆などはすでにアメリカから中国向け輸出が激減しており、トランプ大統領の支持層である農家を苦しめる結果となっています。今後、同様の「耐乏生活」を余儀なくさせられる人は増えそうです。(つづく)
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