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2019-05-23 00:00
(連載1)米国・トランプ大統領の外交姿勢
真田 幸光
大学教員
昨年のことになりますが、ニクソン元米大統領を辞任に追い込んだ「ウォーターゲート事件」を暴いたことで有名な、米国ワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワード氏によるトランプ政権の内幕本『FEAR』(恐怖)が発売されました。この本の中では、例えば、北朝鮮への先制攻撃計画の策定や、シリア大統領の殺害指令などが示されています。私は、トランプ大統領の経済政策は、「宇宙航空産業とその延長線上にある防衛産業の充実による雇用確保と利益拡大」、「IoTを軸とする第四次産業革命を意識し、自動走行を基にして、米国産AIのグローバル標準化推進」、「グローバル物流ビジネスの根幹確保」といったものから構成され、米国第一主義の視点からすれば、米国の雇用確保と利益拡大、そして、グローバル標準化推進の上から見ても、大変素晴らしいと考えていますが、しかし、外交問題については、やはり「あまりにも利己的であり、高飛車であり、国際協調心に欠け、見方によっては、感情的とも言える。」と見ています。
実際に、上述の『FEAR』が出版された後の日本や韓国、中国本土など、アジアの国でのトランプ大統領に対する評価を見ると、「これは、即興的、感情的なトランプ大統領の姿そのものである。米国政権の安全保障政策は危うい綱渡りを続けている。」というものが見られます。少し、その内容を眺めてみます。即ち、同書によると、トランプ大統領は就任1カ月後の2017年2月、米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長に対し、北朝鮮への先制攻撃計画を作るよう指示をしたとされています。所謂、「金正恩斬首作戦」です。これを、ダンフォード議長が当時、共和党の重鎮グラム上院議員に体を震わせながら打ち明けた、と書かれています。そして、ダンフォード議長は「大統領に計画を提示する前に諜報活動を強化しなければいけない。」と回答したようです。
そうした上で、同年10月、北朝鮮と地形が似ている米ミズーリ州のオザーク高原で、爆撃機を使った空爆のシミュレーションが行われたと記されています。更に、私の認識では、「米国には憲法で要人の暗殺を禁じるルールがある。」にも拘らず、米空軍には、指導者を殺害する複数のプランがあり、パイロットは、「北朝鮮の指導者がいると思われる場所」と交信し、最大の威力が発揮できるよう、低空から爆弾を投下する実験をした、と暴露本では表現されています。同年4月にアフガニスタンで、過激派組織「IS」の地下施設を破壊するために投下された大型爆弾も使われ、岩盤地域の北朝鮮の地下深くに逃げ込むであろう、金正恩委員長の殺害の可能性を確認する実験が行われたようです。
また、マクマスター大統領補佐官(当時)が強硬派で、ホワイトハウス内では、「もし大統領が北朝鮮の攻撃を容認するのであれば、北朝鮮が核ミサイル兵器を向上させる前が良い。」と主張していたとも報告されています。そして、トランプ政権内で検討された先制攻撃計画は、「鼻血(bloody nose)作戦」と呼ばれ、その後の米朝の緊張緩和がなければ、何らかの誤算で軍事行動が取られた可能性もあるとも見られています。(つづく)
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