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2019-05-14 00:00
(連載1)世界の潮流、政党の多党化が向かうところ
岡本 裕明
海外事業経営者
欧州議会選挙をご存知でしょうか?欧州の個別の国ではなく、EUという括りにも議会があり、その選挙は5年に一度行われます。そしてその5年の区切りに当たる選挙が、今月23日から26日にかけて、EU各地で繰り広げられます。この選挙の有権者は4億人にのぼり、世界でも最大級の選挙であります。
にもかかわらず、ほとんど知られていないのは「何を共通の利益とするのか」が明白ではないからでしょう。事実、この議会には右派から左派までずらりと並びますが、最終的には中道左派と中道右派が手を結び、議会運営を維持するという構図があります。ならば政党をもっと減らせばいいじゃないか、とも思うのですが、そうならないのはEU加盟28カ国それぞれの思惑なのかもしれません。これは、争点や主張ごとにいくらでも政党が作れるともいえるわけで、日本でも、地域政党ともいえる維新や都民ファーストといった党が躍進しています。また、カナダにもある緑の党は、割とどこの国や地域にもある環境重視派のマイナーな政党ですが、必ず議席をいくつか持つ政党であります。
かつて政治は、二大政党が激しくぶつかることが主流でした。英国やアメリカもそうです。その英国では、いまや20を超える政党があります。今回、EU離脱を目論むという「劇場型政党」すら生まれる勢いの中で「政党とは何だろう」と考えさせられる時代が来たのかもしれません。
何故、二大政党が長年根付いていたか、とすれば、かつては国民の仕分けである「使う方」か「使われる方」か、が比較的単純な構図であったことがあります。いわゆる資本側と労働側であります。ところが、労働者への社会的配慮が充実し生活レベルも上がることにより、労働側は「搾取されてきたことによる不満」から「より社会への参加意識」を持ち始め、個々の主義主張が生まれます。同様に、資本家層も「自分の利益だけを守り通したい」と考えるスタイルから「社会の中に溶け込みながらうまくやっていく」という発想の方も増えてきました。これが思想の多様化でありましょう。(つづく)
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