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2007-05-17 00:00
連載投稿(2)共産党指導部の歴史観
中兼和津次
青山学院大学教授
しかし、中国のほとんどの人は実際にはこうした歴史観を信じない。いつかは共産主義が実現できるなどという空言を言う人は誰もいないのではなかろうか。改革開放後の80年代初めに「信念の危機」なるものが叫ばれたことがあった。それを調べるために世論調査が行われ、共産主義社会の実現を信じている人の割合の少なさに党指導部は愕然としたのだろうか、それ以降、こうした世論調査は行われなくなった(もし、行われていて、興味ある結果が出ているとしたらご教授願いたい)。もともと中国におけるマルクス主義の「底の浅さ」は指導者自身この思想を理解していないことに表れている。以前、中国社会科学院の副院長と食事をしたとき、彼が「共産主義」の原語がcommunismであることを知らなかったのには正直驚いた。社会科学の最高権威者の一人であるはずの彼でさえ知らないのだから、まして毛沢東や?小平といった政治指導者たちがマルクスのいうcommunismの意味を理解できたはずがない。毛沢東にとってマルクス主義とは階級闘争の理論として有用だから使っただけである。
したがって、中国における公式の、言い換えれば共産党指導部の歴史観は、結局は勝者史観でしかなくなる。自らが正しいと考える歴史が「正しい」のである。そうした歴史認識こそが「正しい歴史認識」なのである。ここからは、「抗日戦争の勝利」は全て共産党の功績に帰せられ、日本軍と戦ったのは八路軍であり、政府軍(国民党軍)は当時逃げ回っていたに過ぎないことになる。しかし本当にそうだったのだろうか? われわれから見ると日本軍と激しい戦火を交えたのは政府軍であって、八路軍はほとんど前線にでることはなかった。(つづく)
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