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2019-04-23 00:00
(連載1)米中貿易戦争の行方
倉西 雅子
政治学者
世界経済の停滞要因としての米中貿易戦争については、アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席との間のトップ会談により終結に向かうのではないか、とする楽観的な観測があります。対米貿易黒字の削減を求めるアメリカの要求に中国側が折れて、アメリカ製品の輸入拡大を約するのではないか、というのが大方の予測です。
自由貿易主義、あるいは、グローバリズムの堅持を掲げる側からしますと、米中貿易合意が成立するにせよ、不成立により対中高額関税が維持されるにせよ、これらの結末は不本意となるのでしょうが、自由貿易のメカニズムからしますと、至極当然の結果なのかもしれません。リカード流の古典的な自由貿易理論では、自由貿易はウィン・ウィン関係となり、そこでは貿易収支の問題は捨象されています。
しかしながら、現実に貿易を行う双方の収支がぴったりと一致するのは極めて稀であり、多少の違いこそあれ、貿易収支には不均衡が生じます。この現実は、自由貿易主義を無制限に行うことができない、という厳粛なる事実を表しているのです。
今日では、殆ど全ての諸国が管理通貨制度に移行しているため、貿易不均衡問題は表に現れ難くなりましたが(特にアメリカは自国の米ドルが国際基軸通貨として通用するので貿易決済に不自由しない…)、金・ドル本位制とも称されたブレトンウッズ体制を含め、国際通貨制度として金本位制が採用されていた時代には、国内的な不況やインフレと連動する深刻な問題を引き起こしています。何故ならば、国際的な金本位制下では、貿易赤字国の国庫から金地金・金貨幣が流出すると共に、貿易黒字国の国庫には金地金・金貨幣が流入するからです。通貨発行量は金保有量に比例するため、前者では通貨発行量の減少によるデフレが発生する一方で、後者ではインフレに見舞われるリスクがあったのです。(つづく)
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