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2019-04-09 00:00
新元号、「ジャパン・ファースト」への道
大井 幸子
国際金融アナリスト
4月1日、新しい元号が公になった頃、私は奥大和の高天彦神社を参拝し、橋本院の美しい花園を過ぎて、葛城古道を歩いていた。金剛山の麓にある高天彦神社は、日本神話の「高天原(神々のいる場所)」とされ、古事記に登場する。新元号「令和」が四書五経ではなく、万葉集から選ばれたことで、日本が21世紀に独自の独立自尊の道を歩んでいく、という意気込みが感じられる。インバウンド観光客が3千万人を超え、日本人が自らの文化的オリジナリティを再認識する時なのだろう。
一方、国際的な政治経済で見れば、第二次大戦後の「戦後レジーム」が終わり、世界では新しい体制のもと、国家対国家で新しい契約に入る時がやってくる。21世紀の国際秩序で主役を演じるのはトランプ大統領である。トランプ氏の「アメリカ・ファースト」ミッションとは、「20世紀の軍産複合体制に付着した様々な既得権益の枠組みを壊し、21世紀型の新しい効率的な国家運営体制にふさわしい権力構造に組み替えること」だ。
この「トランプ変革」は各国にも波及し、国際関係は米国覇権を中心に仕切り直しが進むだろう。21世紀の戦争が、従来の陸・海・空に「サイバー空間」と「宇宙空間」を加えた5次元の戦いに変わり、あらゆる「非軍事的手段」を含むテロといった、これまでの限度を超えた戦争(「超限戦」)に変わったのだ。戦争のあり方が根本的に変わる時、当然、世界の権力闘争の構造も変わり、日本も変わらざるを得ない。「超限戦」の時代、米国は日本の国境管理や国防まで関わることは無い。トランプ大統領は、独立自立した日本との新しい同盟関係を望んでいる。幸い、安倍政権は「四つの原理:自由、民主主義、市場経済、法の支配」を掲げ、米国との絆を保っている。日本はやっと独立自尊の国としての役割を決め、世界に貢献できる立場にまで立てるようになったのだ。
今後は「ジャパン・ファースト」で、国際競争力を維持し、経済・金融をパワーアップしなければならない。そのためには、21世紀の新しい効率的な国家運営体制に切り替わり、「官僚統制国家」へのマネー・フローを変える必要があるだろう。そうでなければ税金ばかりが高くなり、人々の生活が困窮化し、次世代が豊かさを持続できない。フランスの「黄色いベスト運動」も、生活苦への不安から市民が立ち上がった。日本はまだ大丈夫だろうか。「まだ」がいつまで保つか。「令和」の「令」には戒めの意味があると聞いている。マーケットの見通しについて、米連邦準備制度理事会がハト派化し、トランプ大統領の「ロシア疑惑」が一旦晴れたことで、若干安心感が続いている。しかし、こちらもいつまで保つだろうか。
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