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2019-04-01 00:00
政策評価と微分
緒方 林太郎
元衆議院議員
現職時代から、色々な政策担当者の発表の中で「二次微分で誤魔化すケースが多いんだよな。」と思っています。特に、安倍政権による経済政策の成果誇示の際に散見されます。予算委員会等でいきなり言われてしまうと、よく分からないので面食らうのですが、よくよく聞いてみると、この二次微分は総じていかがわしい事が多いです。ただ、この説明だと、高校数学をある程度やってないと分かりにくいですね。一次微分は、単なる増減(傾き)です。それを更に微分すると、傾きの増減になります。二次微分がプラスの時というのは凹を、マイナスの時は凸を想像していただければいいです。これでも分かりにくいので、より具体的に説明していくと、何かが減っている状態は一次微分がマイナスになります。そして、例えば、減っているんだけど、減り具合が緩やかになっていく時、一次微分はマイナスですが、二次微分はプラスになります。「下げ止まった」と言うから、「おっ、増えたのかな」と思ったら、単に「下げ幅が減っただけで、引き続き減っている」だけだったというケースです。
このアプローチには決定的な問題点があります。一次微分がマイナスの時に、二次微分がプラスである事を持ち出して自慢する事はあるのですが、一次微分がプラスなのに、二次微分がマイナスになる時に問題視する事は、まずないのです。あえてあるとしたら、中国の経済成長率が下がっているのを説明する時には、二次微分を使っています(成長率が一次微分、成長率の増減が二次微分になります。)。ただ、一般的には、人口が増えているのに、その増え具合が緩やかになっている際、それをネガティブにプレゼンする政治家はまず居ません。
となると、一次微分がプラスの時も自慢可能であり(そもそも伸びているから)、一次微分がマイナスであっても、二次微分がプラスであればそれも自慢可能という事になり(下げ止まっているから)、結局自慢できないのは、一次微分、二次微分共にマイナスの時だけです。ちなみに、一次微分も二次微分もマイナスというのは、超スピードで転落している時です。(例えば、「Y=-X^2(Xの2乗)」の一次微分は、「Y’=-2X」、二次微分は「Y’’=-2」です。そして、「X>0」の時は一次微分も二次微分もマイナスです。グラフを書くと、すごい勢いで転落していく姿になります。ああいう事態以外は自慢可能というのは、さすがにおかしいでしょう。)
そういう意味で、この二次微分で説明しようとするのは、あまり公平なアプローチとは言えません。 これを駆使すると、どういう時でも自慢話が作れるのです。減少傾向でもちょっとだけプラスに改善したタイミングがあれば、そこで「〇〇年ぶりのプラス」とも言う(一次微分)のは基本的なやり方ですが、下げ幅が少し緩やかになるだけでも「下げ止まり。回復傾向。」とすら言えてしまう(二次微分)という事です。政治家が自己の政策をポジティブにプレゼンする時、よく見てみてください。結構、二次微分を持ち出す事が多いです。そういう時は、「この人は一次微分がプラス、二次微分がマイナスの時にどういうプレゼンをするのかな?」と想像していただければ、結構面白いでしょう。いかがわしさが際立ってきます。なお、冒頭にも書きましたが、本件について特に安倍政権は近年、赤丸ついて急上昇中です。
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