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2019-03-28 00:00
(連載2)北朝鮮の貧困と共産主義の問題
倉西 雅子
政治学者
第2に指摘し得るのは、改革開放路線を歩むことによって、北朝鮮が韓国をも凌ぐ先進国へと急成長を遂げる可能性があるとしますと、これまでの北朝鮮の経済政策とは、一体、何であったのか、という疑問です。世界三大投資家の一人であるジム・ロジャース氏は、北朝鮮の潜在能力を高く評価しており、ウラン鉱を含む豊富な天然資源に加えて、勤勉で優秀な国民性に期待を寄せているようです(共産・社会主義国の国民は怠惰となる傾向にあり、今日の北朝鮮国民が勤勉であるという評価には疑問符が付くのですが…)。このことは、裏を返せば、共産主義に基づく統制経済が、あらゆる資源を有効活用させることなく眠らせてしまう‘冬眠システム’であるか、あるいは、歴代の北朝鮮指導者の統治能力が極めて低レベルであったことの証左ともなります。
そして第3の疑問とは、最も閉鎖的な経済体制を敷いてきた北朝鮮が、国際的な経済制裁網によって追い詰められている点です。共産主義における通商体制とは管理貿易体制であり、自由貿易主義とは異なり全ての貿易は国家によって管理されます。かつてのソ連邦もOECDに対抗して、COMECONなる組織を結成し、共産主義陣営内の国家間貿易促進に努めましたが、結局は有名無実化してしまいました。
冷戦時代の経済関係を引き継ぎ、今日なおも北朝鮮の主要な貿易相手国は中国やロシアなのですが、両国並びに韓国は、制裁決議成立後も秘かに石油製品などを北朝鮮に提供しているとされていますので、今般、北朝鮮が経済制裁で悲鳴を上げているとしますと、どこかその訴えには腑に落ちないところがあるのです(もしかしますと北朝鮮は、本心では、対米交渉を機に輸入面ではなく輸出先の拡大や外資導入を目指しているのかもしれない…)。
北朝鮮側は積極的な姿勢を示しつつも、第3回米朝首脳会談の日程は未定のままであり、その間、北朝鮮に対する経済制裁は継続されることとなります。中国の動きを含め、北朝鮮を取り巻く状況には不安定要因や不透明な部分が多いのですから、ここは焦らず、北朝鮮という国の実像を徹底的に調査・分析するとともに、上述の非核化シナリオについても再検討を試みても遅くはないと思うのです。(おわり)
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