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2019-03-26 00:00
(連載2)英国離脱問題、日本が考えるべき教訓
岡本 裕明
海外事業経営者
英国のように言いたいことを言い放ち、極論を振りかざすのは確かに「辛口の刺激」としては面白かったのかもしれませんが、それは社会問題の一つ、「移民が職を奪う」という国民生活に直接かかわる問題に、政治家が油を注いで火をつけたようなものなのでしょう。その火をつけた犯人、ボリス・ジョンソン氏らは消火活動はせず、遠くから見守りながら「もっと燃えろ」と叫んでいた点で、国政の造反者であったのではないでしょうか?
しかし、それ以上に不甲斐ないのはメイ首相であります。先日、メイ首相がユンケル欧州委員会委員長と合意した「英領北アイルランドとアイルランド間の将来の確約」は、実は個人的にはよくできた合意だと思っていたのです。日本ならばこれで国会を説得できるぐらいの合意でしたが、英国議会で大差をもって否決されてしまったのは、メイ首相自身に責任があると断言してもよいでしょう。つまり、議会を味方につけられず、自分に強力な右腕もおらず、「時遅し」で「覆水盆に返らず」なのです。私は当初から、メイ氏を首相に選んだ時点で間違い、と指摘してきました。英国は、メイ首相とともに混沌とした月日を過ごさねばならなくなりました。それは、キャメロン前首相の指導力にも問題があった、とも言えます。
こう考えると日本の現在の政治構成、安定的長期政権を担う安倍首相と与党の調整能力は、極めて高く評価すべきレベルにあると考えています。日本の歴史を見ても、しっかりした指導者とその指導者を支える与党の基盤が良い時は、日本は成長し幸せを享受しています。もちろん、どんな時でもいろいろ言う人はいます。野党も声を上げることが仕事なのでしょうが、最近は野党の意気込みも消沈気味に感じます。私は自民党の二階幹事長が安倍首相4選とか、小池百合子都知事支援という声を上げていることには違和感を持っていますが、二階氏は、「安定」を維持するという点において「これ以上の人が今いるか」と投げかけているのだろうと思います。そうであれば、次を期待される指導者予備軍は選挙を待つのではなく、今から帝王学を学ぶべきでしょう。
リーダーシップとは何か。宇宙人のような首相が一人切れた風船のように飛んで行ってしまっては何もできません。地にしっかり足をつけて政権を担うことがいかに重要か、今回の英国のドタバタを見て、教訓となればよいと思っています。(おわり)
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