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2019-03-13 00:00
情報革命と中国本土
真田 幸光
大学教員
私は、2012年にドイツがIOT化を念頭に「第四次産業革命」のコンセプトを発表し、また、そのスタンダードとして「ドイツ版インダストリアル4.0」のコンセプトをいち早く発表し、国際標準化機構(ISO)規格に替わる、新たなものづくりのスタンダードを示そうとしていることを以前より注視しています。これにより、「世界的なスタンダードの変化」が見られるのか否かは大きな注目点です。更にまた、IOT化の進展を通して、「情報の集中、特にビッグデータ化を通した情報の集中が進めば、情報を所有する者が支配する側に、情報をコントロール出来ぬ者が支配される側に分かれ、その結果、格差は更に広がり、かつ、その格差が固定的となり易くなる。」とも考えております。
さて、こうした中、「中国本土のグーグル」と呼ばれているネット検索大手の百度(バイドゥ)が、3年間で10万人のAI関連人材を養成するという計画を発表、動きはじめています。即ち、こうした世界の動きに中国本土も参戦してくることを表明したようにも聞こえます。何故ならば、こうした動きは、習近平国家主席が陣頭指揮を取る汎国家的「技術蜂起」戦略の一環と見られているからです。具体的には、昨年3月だけでも米国マイクロソフトから5人のAIエンジニアが中国本土企業へ移籍、「人海戦術」を思わせる大規模な人材投資を通して5年以内に米国に追いつき、世界第1位になるという戦略を示しています。また、AIは、一国の産業競争力はもちろん安全保障・軍事力までも左右する中心技術で、単なるビジネスの視点からだけの動きとは見られていません。既に、中国本土はおよそ7億人のモバイルユーザーが情報交流する世界最大のビッグデータを保有しており、これが更に拡大することはほぼ間違いありません。地球上のどの国もかなわないビッグデータの基盤の上で政府と企業の大規模な投資が結びつけば、米国に追いつくことは不可能ではないと考えられるのです。
また、実際に2017年には、中国本土のAI特許出願件数はおよそ1,300件となっていると言われ、米国より4倍以上も多くなっており、中国本土のAI技術レベルは、2015年の時点で米国より2.8年遅れていると評価されていましたが、2017年にはその格差を1.9年に縮めたとまで言われています。更に、AIだけではなく、モバイル経済のようなITサービスやドローン産業では中国本土は例えば韓国よりもずっと先行し、世界の最先端を疾走しているとも言われています。そして、バイオ・遺伝工学をはじめとする大部分の次世代産業技術でも、中国本土の実力は増しています。
こうしたことから、第四次産業革命の覇者がもし、中国本土となれば、世界の覇権は、「英米から中国本土へと移る。」という可能性を、私たちは、念の為、留意しておかなくてはならないと思います。
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