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2019-03-12 00:00
(連載2)米朝会談に踊るメディアも反省が必要
中村 仁
元全国紙記者
内政の手詰まりを外交によって、国民の目をそらす傾向が強まっていると、メディア自身が指摘しています。それなのに、いざ首脳会談が開かれるとなると取材陣を大編成し、紙面を大展開し、放映時間を気前よく割きます。勇ましい派手な報道のほうが受けるからです。いい加減にこんな編集方針は修正したほうがよいでしょう。有権者のほうがよほど賢いのです。日本の世論調査で「朝鮮半島の完全な非核化は実現するか」と問えば、70%から80%前後の人が「そうは思わない」と答えています。一方、韓国では実現に楽観的な数字が出ており、それは期待感が現実を上回るからでしょう。
核開発に成功したからこそ、米国を首脳会談の場に引っ張りだせたと北は思っているのでしょう。だから、残念ながら北朝鮮が核を手放すことはないとみるべきです。経済制裁を受けても、中国や韓国が裏で支援しています。では、首脳会談なんかやめるか、となると、そうもいえません。「米朝協議の継続している限り、北がミサイル発射や核実験は行わない状態が続く。それはそれで好ましい」が常識的な見方だからです。
政治のトップが外交ショーで点数稼ぎをする手法が多用される時代になりました。国内の金融財政は手詰まり、経済成長率は1、2%まで低下し、格差は広がり、国民の不満は高まるという状況の下では、残るのは外交政策です。メディアはそれにつられてはいけません。正味の価値がない情報、ニュースを流し続けていると、国民はメディアをますます信じなくなります。安倍政権が熱心な北方領土の返還交渉も、同じような手法ではないかと考えます。ロシア側は領土の返還に応じることはまずないでしょう。日本の経済協力で、北方4島におけるロシア人の生活環境はよくなり、世論調査では、恐らく80から90%のロシア人が返還に反対するでしょう。ただし、日露首脳会談で領土問題を取り上げると、点数は稼げるから政治的には好都合なテーマなのです。
メディアは、そうした政治家の手の内を読んで、実現可能性のレベルに応じて、ニュース価値を判断すべきです。米朝首脳会談後、安倍首相が「(拉致問題もあり)次は私自身が金委員長と向き合わなければならない」と、語りました。本気なら直ちに拉致被害者の生存者リストの提出を迫るべきです。(おわり)
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