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2019-03-11 00:00
(連載1)米朝会談に踊るメディアも反省が必要
中村 仁
元全国紙記者
ベトナムの首都ハノイで行われた米朝首脳会談には、3000人の報道陣が駆け付け、最大級の注目を集めました。しかし会談は早めに打ち切られ、共同声明も見送られました。内政の手詰まりから、外交面の政治ショーに目先を変えたい首脳たちの手法に、メディアは簡単に踊ってしまいます。政治はますます外交にはけ口を求め、外交はますます政治ショー化しています。解決に至るには難問が多く、外交も報道も空転することになります。国際報道は難しい時代に入りました。深みにまで降りて分析し、派手な報道をして自己満足に陥らないことが大切です。
会談が物別れに終わった理由として、「準備期間が短かく、痛み分け」、「自らが取引に乗り出すトランプ流の外交の危うさ」、「北朝鮮は米国の意図を読み誤った」など、双方に責任があったように指摘する識者が多いです。そうだとは思いますが、同時に指摘すべきは、メディアによる会談の誇大報道です。
朝日新聞の社説は、「今度こそは、という国際社会の期待に背く再会だったと言わざるをえない。あれほど楽観していたトランプ大統領の言葉はなんだったのか、虚しさが漂う」と落胆しています。さらに「内政で苦境に立つトランプ氏の足元を北は見たのか」と指摘しています。産経新聞の社説では、「北朝鮮が示した非核化は極めて不十分だった。世界が納得できる非核化措置を示し、速やかに実行することだ。それなしに北朝鮮の未来がない」と、険しい筆致で批判しました。大別すれば、米国を責める朝日、北朝鮮を責める産経でしょうか。読売は米朝両国を批判しています。「部分的な非核化と引き換えに、制裁の全面解除を求める金委員長の主張は到底容認できない」、「直観や即興に頼るトップ外交は極めて危ういことをトランプ氏は認識すべきである」などなど。各紙の指摘はいづれも正しく、両国のトップへの批判は痛烈です。
そうした批判はメディア自身にも向けなければならないのです。期待感をあおる大々的な報道をしておいて、物別れに終わると、「虚しさが漂う」(朝日)はないでしょう。トランプ氏が非核化について「私は急いでいないし、だれもせかしたくない」(2月25日)の発言の時点で、誇大報道を修正すべきでした。(つづく)
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