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2019-03-01 00:00
(連載2)ファウエイ排除をめぐる不一致
倉西 雅子
政治学者
ファウエイ製品の主たる問題点は、自社製品に秘かに’バックドア’やスパイ装置を組み込むところにあります。ファウエイ使用国で5Gを使用した通信が行われた場合、その情報は、全てファウエイ、否、同社のバックにいる中国共産党に自動的に‘筒抜け’となるのです。5Gの通信網は全加盟国間で接続される予定ですので、このことは、たとえファウエイ排除国が自国内で’ファウエイ・リスク’を予め取り除いたとしても、同国の機密情報等がファウエイ使用国に流れた途端、この努力は水泡に帰してしまうことを意味します。つまり、EUにあっては、ファウエイ排除によるスパイ防止策は、ファウエイ使用国によって無力化されてしまうのです。
こうした事態を防止するためには、排除国の政府も国民も、5Gを使用する際には、情報を制限するか、5Gの他に別の通信網を準備するか、5Gの非加盟国との接続を遮断するか、あるいは、5Gの導入そのものを諦める…といった方法で対処する必要に迫られます。建前としては、‘欧州市場’には国境はないはずなのですが、5Gの導入を機に、EUでは、ファウエイ排除国と使用国との間で新たな‘国境’が出現しないとも限らないのです。
高速・大量通信を可能とする5Gの導入によって、ネットの便利性が高まると共に、AI技術との融合によって、様々な分野で新たなネットサービスやビジネスが生まれるとされています。経済活動のみならず、政治から人々の日常生活に至るまで、あらゆる分野の基礎的インフラとなるのですが、5Gをめぐる加盟国間の不一致は、それが重要な基盤であるが故に、EUに深刻な分裂を招きかねないのです。
5G時代の到来は、同時にEUの空中分解を意味するかもしれず、‘鉄のカーテン’ならぬ、欧州に出現した新たな‘見えない万里の長城’は、米中対立の中で表面化しつつある‘世界の分断線’とも一致しているようにも思えるのです。(おわり)
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