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2019-02-18 00:00
(連載1)ポピュリズム拡散を背景とした世界の混沌
真田 幸光
大学教員
私は必ずしも、米国のトランプ大統領を、能力が低く、自分勝手な人間とは見ていません。むしろ、彼の経済戦略や外交戦略は、「他国に打ち勝ち、米国を再び偉大な国にする。」という視点から見れば、「効果の高い戦略を打つ戦術家、少なくとも、そうした戦術家を背後に持つ大統領」と私は感じています。しかし、私がトランプ大統領に対して持つ危惧は、「アメリカファースト」を唱え、「自国第一主義の名の下、大衆迎合的動き(ポピュリズム)を米国国内はもとより、世界に拡散させている。」ということにあります。自国第一主義の下での世界的なポピュリズム拡散は、世界各国を「均衡(Balance)、協調の世界から、自国第一意識を背景とした覇権(Hegemony)争い」に導き、「世界的混乱を解決するどころか、世界的混乱を拡大する。」という遠因にもなりかねないと私は見ています。
そして、私はこうした中、「米中覇権争いやその背後で動くロシアの動き」、「ブレグジット問題の渦中にある英国、庶民の既得権益層に対する不満を背景としたフランスの黄色いベストデモ運動、ドイツのメルケル首相の権力掌握力低下、イタリアの財政赤字問題を背景とした、欧州連合崩壊トレンドに対する懸念」、「イラン問題を軸にシリアやトルコ、そしてサウジアラビアも巻き込む中東情勢の混乱懸念」、「米国のお膝元で燻るベネズエラの混乱」などの現象を見ると、「中長期的には、現行の世界秩序の変化が見られ、その混沌(Chaos)が混乱(Disorder)へ、そして、場合によっては、無政府状態(Anarchy)にまで発展してしまうのではないか。」と心配してしまいます。否、そこまでの心配へは行かないとしても、例えば、世界的に有名なニューヨーク大のルービニ教授や投資家のロジャーズ氏などは、「我々の世代で最悪の不況がやってくる。」と語っており、気に掛かります。
特に私は、「直近の世界的経済混乱となったリーマンショックは、民間セクターで起こった、行き過ぎた広義の信用創造によるバブル経済の崩壊が齎した大混乱でありましたが、その後の世界は、そのリーマンショックを克服しようと、公的セクターが今度は行き過ぎた広義の信用創造を行い、その結果、世界の主要国は現在、財政赤字問題に苛まれており、万一、これが爆発、崩壊すると、民間セクターを背景とした経済危機であったリーマンショック以上の世界的大混乱を齎す。」と見ています。
実際に国際金融世界では、「経済の低迷は時間の問題である。今回は前回よりも苦しい戦いになる。」との見方もあり、特に最近は、「これまで世界経済の成長エンジンだった米中の経済は同時に低迷している。米国の経済成長率は2020年には1%台にまで低下する。」との声も出ています。そして、私が心配しているのは、例えば、日本が実施している、「マイナス金利政策の出口戦略が見えない。」と言われているが如く、世界的混乱の解決に向けた際の秘策が尽きてしまったら、世界はどうなるのか?という懸念であります。(つづく)
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