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2019-02-13 00:00
(連載2)グローバリズムを壊す中国の‘一国グローバリズム’
倉西 雅子
政治学者
合理的に考えれば、市場規模が大きくなればなるほどに‘規模の経済’も強く働きますので、全世界の市場を包摂するグローバル市場では、人口大国である中国企業が、競争上、圧倒的に有利な立場から事業を展開し、他国企業を‘淘汰’することができます。
言い換えますと、グローバリズムの行く先には、中国による‘一国グローバリズム’が待ち受けているかもしれないのです。共産主義とは、政治と経済が一体化した思想ですので、経済分野における世界制覇は、即、中国による世界支配と直結します。習近平国家主席が掲げる「中国製造2025」は、まさにこの方針に沿った世界戦略であり、ドイツが2030年までの戦略に外資買収阻止基金の設立を含めたのは、中国の世界戦略の遂行を阻止する決意の表れであるのかもしれません。
以上に、ドイツの方向転換について見てきましたが、技術立国を自認してきた日本国もまた、ドイツの方向転換は他人事ではありません。先にも触れましたように、日本国政府の経済戦略とは、基本的には外資歓迎であるからです。日本国内を見渡しましても、東芝の白物家電部門の中国美的集団による買収やNEC、並びに、富士通のパソコン部門のレノボの傘下入りなど、日本国の‘お家芸’が中国系企業に次々と買収されており、また、政府の支援の下で誕生し、現在、産業革新投資機構が筆頭株主である大手半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスも、中国系から出資を受ける案が検討されているとする情報もあります。現実に、日本経済を根底から支えてきた重要事業部門の多くが技術力と共に中国勢の手に渡っているのであり、日中関係の改善がさらなるチャイナ・マネーによる日本企業の買収を意味するならば、日本経済も、ドイツと同様に深刻な危機に瀕することとなります。
グローバリズムの行く先が中国の‘一国グローバリズム’であるとする現実がグローバリズムそのものを壊しているのであり、それは、グローバリズムがこの世の有限性や具象性を捨象した観念の産物であったことと無縁ではないのでしょう。日本国政府は、これが抱える危うさを直視すると共に、日本企業、並びに、日本の技術力を護るためのあらゆる方策の策定を急ぐべきではないかと思うのです。(おわり)
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