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2019-02-12 00:00
(連載1)グローバリズムを壊す中国の‘一国グローバリズム’
倉西 雅子
政治学者
アメリカのトランプ政権が保護主義に転じて以来、中国は、自らこそ先頭に立ってグローバリズムを推進するリーダーとして名乗りを上げてきました。ところが、後ろを振り返りますと、フォロワーとなるべき国が見当たらないようなのです。
つい最近まで、国際社会はグローバリズム礼賛一色であり、急速な経済成長で台頭した中国は、時代の寵児でもあったはずです。アメリカのトランプ政権が誕生した時も、あたかも時代の潮流に逆らう異端児として白眼視されていました。しかしながら、今では、グローバリズムのために共に闘う友であったはずのドイツでさえ、徐々に距離を置き始めています。
報道に拠りますと、ドイツのアルトマイヤー経済相は、2030年までの経済戦略として、ドイツ企業の外資による買収を阻止するための基金を設立する方針を公表したそうです。これまでのグローバリズム流の経済戦略では、外資による自国企業買収は、海外から投資を呼び込み、自国経済を活性化するとして奨励されてきました。従来の日本国政府の経済戦略も外資歓迎の立場にあります。ところが、ここに来て、ドイツまでもが、資本やテクノロジーの自由移動を原則に含むグローバリズムに背を向けて、自国企業保護のための規制強化に舵を切り替えているのです。
ドイツの方針転換の理由は、自国経済の強みであった先端技術の中国への流出懸念があります。中国は、自国企業と外国企業との間で合弁企業を設立するに際して、法律によって先端技術の提供を義務づけてきました。13億の巨大市場に参入するチャンスは技術情報を失う機会ともなるのであり、この技術移転強要の廃止は、米中貿易交渉にあってアメリカの対中要求の重要な項目でもあります。ドイツとしては、中国市場においてドイツ製品の販売拡大に一先ずは成果を見たものの、やがては技術移転によって飛躍的に技術力を高めた中国企業が、巨大な‘チャイナ・マネー’の威力で技術力を誇るドイツ企業までをも傘下に収めるとなりますと、もはや黙視はできなくなったのでしょう。この状態を放置すれば、ドイツ経済は企業諸共に中国経済に飲み込まれ、‘虎の子の技術’の提供という犠牲を払ってまで築いた中国市場での地位も失われることは必至です。(つづく)
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