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2019-02-06 00:00
第2回米朝首脳会談と日韓決裂はリンケージしている?
倉西 雅子
政治学者
昨年の6月12日、シンガポールで開催された第一回米朝首脳会談は、北朝鮮の非核化に関して、肝心な点を曖昧にしたまま一先ずはお開きとなりました。このため、積み残した問題を詰めるためには更なる首脳会談開催の必要性が指摘されてきたのですが、延び延びとなってきた第2回米朝首脳会談の日程が凡そ固まってきたようです。アメリカ側のトランプ大統領から送られた親書に応える形で、北朝鮮の金正恩委員長も2月下旬の開催に前向きな姿勢を示しており、開催地として挙がっているのがベトナムです。非核化を実現するための具体的な措置を含めた合意の成立が期待されておりますが、両国を取り巻く情勢を見ておりますと、楽観視は禁物であるかもしれません。
先日の報道に拠りますと、北朝鮮は、既に核施設の分散を終えているそうです。たとえ今後の首脳会談で‘具体的な措置’、即ち、特定の核施設の名を挙げてその廃棄に両首脳が合意したとしても他の施設は温存されますので、‘完全、検証可能かつ不可逆的な核廃棄(CVID)’からはほど遠い状態となります。また、核施設分散には、仮に米軍から空爆を受ける事態に陥っても、一瞬で全ての各施設が壊滅する事態を避けようとしたのかもしれません。何れにしましても、北朝鮮は、核施設分散のための時間稼ぎに成功したのであり、この点に注目しますと、同国に時間を与える結果となった第1回米朝首脳会談は失敗であったと言わざるを得ないのです。金委員長が余裕を見せているのも、既に北朝鮮側の‘準備’が完了しているからなのかもしれません。
そして、対米交渉に臨むに当たっての北朝鮮の‘準備’には、自国に有利なアジア情勢の演出、あるいは、醸成が含まれていることは想像に難くありません。否、北朝鮮というよりも、それは、米中対立を背景とした中国の世界戦略であり、この点、北朝鮮は、中国の‘駒’の一つに過ぎないのかもしれないのです。この観点からアジア情勢を眺めますと、韓国の常軌を逸した反日行動も説明が付くかもしれません。可能な限り対米交渉を有利に運ぶためには、親中陣営の拡大が望ましいからです。従来、日韓の緊密な協力関係は中国の脅威に対抗するためには必要不可欠であり、両国は、米国との同盟関係を介して間接的ながらも‘準同盟国’とも評されてきました。しかしながらこの構図は今や崩壊しており、‘徴用工判決’に留まらず、自衛隊哨戒機に対する韓国海軍駆逐艦によるレーダー照射事件では、韓国側は、動かぬ証拠を突きつけられても、決して自らの非を認めようとはしません。日韓関係を改善させる意思は微塵も感じられないのです。自国の信頼性が低下するリスクをも顧みない韓国側の強硬な態度は、対中包囲網の一角であった日韓関係が破綻したことを内外に示しております。そして、この日韓関係の破綻こそ、中国、並びに、北朝鮮が描く対米戦略に合致しているのではないでしょうか。乃ち、激しさを増す日韓対立は、アメリカに対する‘韓国は中国陣営の一員である’とする中国側からのメッセージであるかもしれないのです。
このように考えますと、第2回米朝首脳会談には、第二次世界大戦前夜に開催されたミュンヘン会談に匹敵するほどの危うい空気が漂っております。たとえ両首脳間で合意が形成されても、それは妥協の産物であって北朝鮮が非核化されるとは限らず、また、決裂した場合には、どちらの側からの軍事的なオプションもあり得るからです。日本国政府は、第2回米朝首脳会談の開催に安堵するのではなく、既に韓国が中国側にある現実を直視し、会談後の危機に対する備えを急ぐべきではないかと思うのです。
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