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2007-05-16 00:00
日本の金融・資本市場の国際化について
上田勇
衆議院議員
日本の金融・資本市場の国際化、機能強化についての政府内の論議が盛り上がってきています。昨年
12月に経済財政諮問会議の「グローバル化専門調査会」に「金融・資本市場ワーキンググループ」が設置されましたが、先月第1次報告がまとめられました。また、ほぼ同時期に金融制度審議会の「スタディーグループ」の論点も公表されました。
東京市場が、ロンドンとニューヨークの世界の二大金融センターに水をあけられたばかりか、香港やシンガポールのアジア市場に比べても立ち遅れている面がある現状は憂慮すべきことだと感じています。国内に1500兆円ともいわれる個人金融資産がありながら、その資金の多くが欧米市場にいったん流出し、そこでリスクマネーに変換されて還流している構造があります。日本の企業や労働者が一生懸命に稼いだ資金が、欧米の金融産業を儲けさせるだけで、国内の雇用や税収の増加に寄与していないというのはあまりにも勿体ないことです。しかも、リスクマネーは短期的なリターンを重視して、投機的に運用されがちなため、日本の産業の長期的・安定的な成長に十分活用されていません。
欧米市場と伍していける競争力を身につけて、東京市場がアジアの金融センターとしての地位を確立していくことは、これからの日本経済の発展のために必要なことだと考えます。前述の報告書等では、市場インフラやルールの整備、金融技術の向上と人材の育成など各種施策が提言されていますが、いずれもぜひとも進めていかなければならないことばかりだと思います。
日本経済の基盤は、世界最高水準の技術・技能に支えられた「ものづくり」にあることは間違いありません。したがって、イノベーションによる産業の生産性向上をめざしていくことが重要です。しかし、そこで得た利益を国内産業の成長と国民生活の向上のために生かしていくことも同様に大切なことです。日本では、金融ビジネスを「マネーゲーム」として、道徳的でないものと忌避する風潮がある気がします。もちろん、金融ビジネスばかりが肥大化するのは、健全な姿ではありませんが、将来の日本経済を考えたときに、これから強化していかなければならない分野であることは疑いがありません。
欧米の金融ビジネスと競争していくことには、当然のことながら大きなリスクがともないます。しかし、臆病になっているだけでは未来は開けません。欧米企業の鼻を明かして、日本がしっかり儲けるというくらいの気概が必要ではないでしょうか。残念ながら、最近のわが国経済界の反応を見ていると、海外からの脅威を恐れているばかりではないかと感じてしまいます。
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