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2019-02-05 00:00
(連載1)日露領土交渉の打開策
加藤 成一
元弁護士
安倍晋三首相は1月22日、ロシアのプーチン大統領とモスクワのクレムリンで会談した。首相就任後、通算25回にも及ぶプーチン・ロシア大統領との平和条約締結交渉及び北方領土返還交渉の結果、ようやく、「1956年の日ソ共同宣言を基礎とした解決」を目指す方向でおおむね日露両国政府の合意が形成され、一定の前進が見られた。しかしながら、その一方では、近時ロシア政府側から日本政府側に対して極めて厳しい主張が相次いでいる。曰く、「1956年の日ソ共同宣言には歯舞群島及び色丹島を引き渡すとは書かれているが、引き渡し後の二島の主権については何も定められていない」、「引き渡し後の二島に米軍基地の設置は認められない」、「南クリール諸島がロシア領であることを認めることが領土交渉前進の前提である」などである。これらはいわば北方領土返還交渉の根幹にかかわる問題であり、これまでの通算25回にも及ぶ日露首脳交渉で一体何が話し合われてきたのかが問われる事態でもある。両首脳が親密であるからこそ交渉を決裂させないために、お互いをあまり刺激しない抑制された交渉が続けられてきたと言えなくもない。
とはいえ、1956年の日ソ共同宣言からすでに63年が経過し、これまで1ミリたりとも動かなかった北方領土問題について、首相就任以来「積極的平和主義」を掲げ、任期中に北方領土問題解決を含む日露平和条約締結を目指す安倍首相の熱意と努力には敬意を表したい。歴代の首相の中で、安倍首相以外には、具体的に北方4島における「特別な制度による共同経済活動」という新たなアプローチ(具体的打開策)等を提案し、これをテコとして北方領土問題の早期解決を目指した首相は見当たらない。ここはプーチン大統領との個人的信頼関係を構築した安倍首相の一段の努力と尽力に期待したい。
そこで、北方領土問題解決のための打開策を提案したい。要は、(1)北方領土の返還に伴うロシア側の懸念や疑念を解消すること、(2)平和条約締結と北方領土の返還がロシア側にとって政治的経済的に有益であるのみならず、対米対中安全保障上も有益であることを事実に基づき具体的に示すことに尽きる。すなわち、北方領土の返還に伴い日露両国間で平和条約が締結されれば、北方4島での「共同経済活動」など本格的な経済協力関係が進展し、日露両国にとって有益であるのみならず、日露両国の友好親善関係も増進するから、日本にとって返還を受けた北方領土に米軍基地を置く特段の必要性はない。したがって、米国にとっても日本防衛のために敢えて北方領土に米軍基地を置く必要性はない。この点については日米露三か国間の協定締結もあり得るであろう。
加えて、平和条約の締結による日露の友好親善関係の発展は、米国との親密な同盟国である日本を通じ米露関係にとってもプラスに働くであろう。日本による米露両国への外交的働きかけを通して米露関係の改善発展が期待されるからである。このことはロシア側にとって対米安全保障上も有益であるのみならず、日米露三か国にとって、米国に代わり世界の覇権を狙い経済的軍事的にますます強大化する中国に対する有効な牽制になる。(つづく)
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