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2019-02-01 00:00
(連載2)‘世界の警察官’なき世界の行方
倉西 雅子
政治学者
一般の人々が銃刀法によって武器や凶器の保持が禁じられている中(もっとも、自衛の必要性が高いアメリカでは銃保有は合法ですが…)、警察のみが拳銃の保有が許されるのも、それが人々の生命、身体、財産等を護るために治安維持の役割―正義を実現するための力の行使―を担ってこそなのです。
そして、仮に、警察官が不在となりますと、これまでその保護を受けてきた人々は、邪悪な犯罪者がのさばる無秩序な状態に放り出されることとなります。国際社会に置き換えますと、全世界はまさに‘弱肉強食’がまかり通る野蛮な時代に逆戻りするのですが、こうした状況に対して考えられる対策は、各国とも軍事力を増強し、自国の防衛に努めることです。国際法上の核保有国の特権が消滅すれば、全ての諸国には、自衛を目的とした核武装の道も開かれましょう。また、単独防衛のみならず、各国とも、同盟政策に積極的に取り組むかもしれませんし、暴力主義的な国家に対しては、経済制裁をも躊躇なく発動するかもしれません。
なお、‘世界の警察官’の不在が人類が構築してきた公共財としての国際法の消滅とは同義ではなく、執行機関の不在のみを意味するならば、自衛力の強化とは、各国が個別に国際法の執行者となることに他なりません。暴力を厭う文明国であるならば、‘世界の警察官’なき後も国際法は存続しているとする立場に立つことでしょう。
トランプ大統領の口調には、“‘世界の警察官’を引き受けたいけれども、できない”というニュアンスも感じ取れます。仮に、大統領選挙中の遊説の際に主張していた財政負担が原因であるならば、各国が、予算不足のアメリカに対して相応の‘報酬’を支払うと云う解決方法もあり得ます。あるいは、国連の枠組みを超えて、国際法の執行機関として、日米を含む複数国による新たな‘世界の警察隊’を結成することも、対処方法の一つです。何れにしましても、警察官が不在の世界では暴力が解き放たれ、何れの国も利己的他害性を有する国から侵害される脅威に晒されるのですから、日本国政府も、‘世界の警察官’なき世界への対応を急ぐべきではないかと思うのです。(おわり)
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