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2019-01-22 00:00
(連載2)新年早々国連憲章違反を宣言する習近平主席
倉西 雅子
政治学者
第1シナリオのケースでは、民主的選挙制度を踏み台にして全体主義体制が誕生する点において戦前のナチス・ドイツの事例に近いのですが、台湾の場合には、(1)一般の台湾国民には熱狂的な習支持者が殆どいない(習主席にカリスマ性を感じていない…)、(2)国民党への支持誘導の背後には軍事力の脅しがある、(3)侵略側にある習主席は台湾の‘救国の英雄’には絶対になり得ない…といった違いがあります。
今日の国際社会では、領土の帰属を変更する場合には、通常、国民投票や住民投票が実施されるにも拘わらず、今般の演説において習主席、「一国二制度」への具体的な移行プロセスとして「台湾の各党派や団体」を挙げているのも、レファレンダムを実施すれば、台湾国民の拒絶に遭うことを十分に承知しているからでしょう。 ‘傀儡政党に政権を取らせる’、あるいは、‘政党を乗っ取る’手法こそ、中国流の‘民主主義の壊し方’なのかもしれません。何れにしましても、民主主義が悪用された事例として歴史に汚点を残すこととなりましょう。
一方、上述したように、第2のシナリオが選択された場合における悲劇は言うまでもありません。そして、この武力行使も辞さずの発言こそ、国連憲章違反である点に思い至りますと、中国は、国連安保理の常任理事国でありながら、公然とそれが定める基本原則を踏み躙っていると言わざるを得ないのです。国連憲章第2条3は、「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない」と定めています(第2条4でも、領土保全や政治的独立に対する武力による威嚇又や武力の行使を慎むべきとしている)。同憲章第6条に照らせば、除名処分となり得る発言なのですが、おそらく、国連憲章が定める原則は、習主席の思考の枠からすっぽりと抜け落ちているのでしょう。
第1シナリオであれ、第2シナリオであれ、中国の狡猾、かつ、暴力主義的な行動により、国際社会が重大なチャイナ・リスクに直面することは疑い得ません。習主席の覇権主義的野心表明と共にスタートした2019年は、日本国を含め、全世界の諸国が中国に対する警戒を強め、心して接せざるを得なくなる時代の本格的な幕開けとなるかもしれないと思うのです。(おわり)
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