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2019-01-14 00:00
(連載1)‘事実’を否認する韓国の問題
倉西 雅子
政治学者
韓国海軍艦艇「広開土大王」による自衛隊哨戒機に対するレーダー照射事件は、双方が相手の主張を否定する展開となり、解決の糸口の見えない‘泥沼化’の様相を呈しています。それもそのはず、日韓の対立には、他の国際紛争とは異なる特徴があるからです。戦争をはじめ、歴史上に起きた国家間の争い事については、当事国双方が異なる‘解釈’を付すことは稀ではありません。歴史的な出来事に対して複数の‘解釈’や‘見方’が提起されることは、むしろ人間の自由な知性からすれば当然であり、絶対的なドグマとして固定化するよりも望ましいことでさえあります。そして、この種の主観的な‘解釈’をめぐる争いは、‘事実’を客観的な‘事実’として双方が認めていれば、決定的な決裂を回避することができます。‘解釈’をめぐる問題は相互理解で解決可能であり、‘事件Xは、A国から見れば○○でも、B国から見れば××である’という共通認識に、一先ずは落ち着き得るのです。
‘解釈’をめぐる争いは、双方が自らの立場を述べ合い、かつ、双方が相手方の立場を理解することで、相互承認的な着地点を見出すことができるのですが、‘事実’をめぐる争いは、前者のプロセスを以って解決に至ることは殆ど不可能です。何故ならば、‘事実’は一つであって、複数存在することは天地がひっくり返ってもあり得ないからです。‘事実’については、足して二で割る方式の妥協の余地は皆無なのです。
日韓間の争いを見てみますと、‘事実をめぐる争い’は、今般のレーダー照射事件は氷山の一角に過ぎず、所謂‘慰安婦問題’や‘徴用工問題’に留まらず、朝鮮半島の日本統治時代全般にまで及びます。さらに歴史を遡れば、古代における倭国と百済、新羅、加羅等の関係や豊臣秀吉の朝鮮出兵、並びに、江戸時代の朝鮮通信使の実像についても、両国の間で‘事実’が違っています。日韓間に横たわる諸問題の多くは、解決困難な‘事実’をめぐる争いなのです。
‘事実’をめぐる争いの典型的な事例は、‘事実’に基づいて有罪無罪を判断する刑事事件です。刑事事件では、一方が利己的他害性によって他者を侵害した加害者側となり、もう一方は、侵害を受けた被害者の立場となります。言い換えますと、どちらか一方が‘犯罪者’と認定され、被害を受けた相手方に対して絶対的な劣位に置かれるのです(謝罪や賠償責任をも負うことに…)。そして、この有罪無罪の判断を支えるのが事実認定であり、‘事実’を立証し得る客観的な証拠こそ同判断の決め手となります。(つづく)
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