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2019-01-08 00:00
(連載2)混迷の欧州情勢について
真田 幸光
大学教員
「マクロン大統領がフランス大統領に就任して暫くした後のこの1年来、提唱し続けているユーロ圏予算構想は、今後のEU予算における一つの足掛かりになることは言うまでもないことであり、メルケル首相は基本的にこの構想に異議はなく、マクロン大統領としては、メルケル首相と手を携えてこの構想を具体化しようとしているのであるが、前述したように、現実は厳しいものがある。また、他のEU加盟国の動きが今一つであり、直近のEU首脳会議でも、EU改革については、ごく簡単に触れられたに留まっている。2019年には欧州議会選挙が行われ、新しいEU委員長が選出されることも、マクロン構想の行方を不明確にしている要因となろう。そして、マクロン改革推進上で大きな誤算であったのは、一昨年9月のドイツ総選挙の結果生まれたドイツ新政権である。
この結果、EU改革への仏独協調路線は、推進力を失う結果となり、更に加えて、EU改革についてのEUの他の加盟国、特に、ユーロ圏には参加していないポーランドやスウェーデンからの抵抗があり、そしてまた、ユーロ加盟国、特に、オランダならびにオーストリアからの、マクロン構想に対しての強力な批判が出たことがマクロン大統領にとっては、大いに誤算となっている。
オーストリアのクルツ首相は、『私はユーロ圏予算なんてものに好意を持てません。EUには既に予算があり、EU加盟国の納税者は、EU予算に多額の税金を納めているではないですか』とまでコメントし、通貨の統合から経済の統合、そして、税金と予算を介しての政治の統合には程遠い動きとなっている。これに加えて、イタリアの新内閣となる、極右政党とポピュリスト政党との連立内閣が、EUルールに違反する赤字財政予算を提示し、EU委員会からの制裁の可能性が出て来ていて、更にこの時期、よりにもよってフランスのマクロン大統領も、国民からの激しい反政府デモを受けて財政支出拡大を余儀なくされていて、財政赤字の対象国になろうとしていている。この結果、マクロン大統領自身が傷だらけとなり、EU改革の推進力を失って来ている。そして、とうとうフランスでは、このような情勢下、1年半前の大統領選挙でマクロン大統領に敗れた極右マリ―ヌ・ル・ペン氏が党名を“国民戦線”から“国民連合”に変更し、勢力を回復しつつある。」といった状況となっています。
欧州情勢、本当に心配であります。(おわり)
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