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2018-12-26 00:00
(連載1)拙速な外国人材の受け入れに、きっぱりNO
長島 昭久
衆議院議員/元防衛副大臣
我が国にどれだけの外国人材を受け入れるかという「移民政策」は、言うまでもなく国のかたちの根本を左右する重大問題ですから、慎重の上にも慎重を期して議論しなければなりません。もちろん、我が国が人口減少という深刻な課題に直面し、かつ、すでに我が国には約130万人に上る外国人労働者が存在しているという事実から目を背けることはできません。しかも、その4割が技能実習生とアルバイト留学生が占めており、彼らが「国際貢献」や「教育」を名目に安価な労働力として利用されているという歪んだ実態を、これ以上放置しておくわけにはいきません。しかし、だからといって、このような日本社会の将来像に決定的な影響を及ぼす法案が、たった数日間の国会審議で拙速に処理されていいはずがありません。少なくとも数年かけて、憲法改正に匹敵するような侃侃諤諤(かんかんがくがく)の国民的議論を要すると考え、今回の出入国管理法の改正案には明確に反対しました。
たとえば、財界から「人手不足で地方経済が回らない」との悲鳴が上がっているといいます。しかし、「労働力不足」解消という一時しのぎで将来に禍根を残してはなりません。人手不足と言いながら、たとえばコンビニ業界は、百貨店やスーパーなど小売業が軒並み低迷を続ける中で猛烈な拡大路線を突き進み、出店競争を激化させています。低賃金で面倒な作業を嫌う日本人に代わって、外国人留学生が低賃金の荷重労働でその穴埋めをしているのです。こういう場合、市場原理に従えば、日本人を惹きつけるレベルまで思い切って賃金を上げるか、人材不足を補うために無人レジや無人店舗といった省力化投資を行うしかないはずです。それができない企業は、営業時間や出店そのものを縮小するしかありません。
もともとバブル期に広がった「過剰サービス」には持続可能性がなかったのであり、人口減少に伴って縮小を余儀なくされるのは理の必然です。それを、留学生や技能実習生で無理やり補おうとするから、そのひずみが外国人材の命や健康を蝕んでしまったのです。ただし、今回の国会審議を通じて明らかになった技能実習生の悲惨な実態については、与野党を問わず、制度をつくった私たち国会議員に大きな責任があり等しく反省すべきで、一部野党が激しい政府攻撃に利用したのは、決してフェアな姿勢とは言えません。
したがって、今回の制度改正の最大のポイントの一つは、現行の技能実習制度のひずみをどこまで是正できるかでした。しかし、送り出し国における悪質なブローカーの排除や、我が国の受け入れ企業や業界における、劣悪な労働環境や生活支援の改善について、政府から納得できる具体的な制度設計はついに示されませんでした。(つづく)
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