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2018-12-12 00:00
日本に対する見方について
真田 幸光
大学教員
日本の国家債務に対する国際金融筋の目は厳しいと言うのが、私の実感です。本年9月の様々な国際会議に於いても、水面下では、外国人から、日本に対して、「日本はそもそも国家債務を返済する意思があるのか?」と厳しい質問を受けたとも聞いています。そして、その直後に、日本政府は、来年予定されている、消費税引き上げを、「今回こそは、予定通りに実施する。即ち、国家債務を少しずつでも返済していく意志を持っている。」と海外に向けてメッセージを発信したように見えますが、そうであるとすれば、「消費税引き上げ実施後に、日本の国家債務が減少トレンドに本当に入るのか否か?」が次の焦点ともなりましょう。
さて、その日本の国家債務ですが、「高齢化に伴い医療や年金など社会保障費の拡大に歯止めがかからず、日本の政府債務は国内総生産(GDP)の2倍を超してしまった。太平洋戦争末期とその後、日本は巨額の累積債務を、結果的には、敗戦による過酷なインフレによって払拭、結局は、その国家債務の代償を支払わされたのは国民となった。」と言ってしまうと、やや行き過ぎでしょうか。日本の政府債務残高は既に1,000兆円に達しており、日本の名目GDPの約2倍となっており、これは、「事実上の国家破綻をしたギリシャよりも悪い数字である。」とも言えます。
こうしたことから、国際金融筋が、日本の国家債務の現状に目を向け、日本はリスクが高い国であるとの認識を本格的に強めれば、日本に輸出をしても金額を支払う可能性は低くなりますし、これにより、日本に対しては輸出をしてこなくなります。こうした結果、「円安と物価高」が誘引され、最終的には、日本国債の外国人保有者が、一気に「日本国債売り」を仕掛け、日本国債の利回りは、2012年頃のイタリア国債金利高騰時のような割合になります。つまり、欧州財政危機のような現象が日本で起こっても、実は不思議ではないのです。そうした意味で、私たち、日本国民は、「日本の国家債務問題」には大いに意識を払う必要があると思います。
尚、こうした中、私が名古屋でテレビを観ていますと、名古屋の国税局が、大学で学生たちを前にして、「今の日本の国家債務状況を考えると、納税の義務を果たしていくことは大切である。」との趣旨のセミナーを行ったと聞きました。これは、大変に大切な動きであると思います。しかし、私は、これでは、若い人たちに対する指導は不十分であると考えます。即ち、若い人たちには、「納税の義務」ばかりを教えるだけでなく、「納税者として、税金の使い道についてもしっかりと考えるよう指導する。」ことをして初めて、指導は完成するものと考えます。日本国民は名実ともに、大人の立派な「納税者」とならなくてはいけないのではないでしょうか?
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