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2018-11-19 00:00
(連載1)外国人労働者受け入れ拡大の議論
岡本 裕明
海外事業経営者
出入国管理法改正案をめぐり国会で審議が始まりました。各方面、様々な意見が飛び交っています。移民の国であるカナダに住む者から見た今回の議論を考えてみたいと思います。産経新聞(2018年11月2日版)が懸念を示しています。その理由が(1)「政府は移民ではないと言うがそうとは思えない」、(2)「日本人との間で職や社会保障、教育の奪い合いはないのか」、(3)「将来の参政権への懸念」であります。
これらの指摘について検証してみます。まず、産経が指摘する移民の定義は、国連が「出生あるいは市民権のある国の外に1年以上いる人」としていることから、今回の政策は「移民枠拡大ではないか」という点です。実は移民の定義は明白にはないのです。国連のそれはマイナーな定義で、普遍性がありません。事実、1年といえば「ワーキングホリデイや留学生も移民になるのか」ということになります。移民というのは、移民本人の意思及び受け入れ側(国家)によるそれの承認という二つの条件が整った上で、本人が希望すればずっと住めるという前提があってこそ成立するのではないでしょうか?ちなみに英英辞典を見ると『Webster』も『Oxford』にも「Permanent(永住)」という言葉が入っています。例えばカナダにおいて、駐在員などの就労ビザ取得者は「居住者(Resident)」に過ぎず、逆立ちしても移民とは言いません。英語では「一時的滞在の許可(Temporary Work Permit)」に過ぎないのです。これはアメリカも同様です。この就労ビザは通常1~2年ごとに更新を要求され、更新できるかはその時々の政府の「移民政策の方針次第」ということになります。よって、ビザが出ず、帰国する人も存在します。また、カナダ国内の業種ごとの労働市場をみて、就労ビザが出たり、出なかったりします。例えば、昔は日本人の美容師はビザが出たのですが、今はかなり厳しくなりましたし、一店舗一人などと制限が付くようになりました。つまり、就労に関するビザは、政府のさじ加減次第で増やしたり減らしたりできる実に都合の良いものなのです。
社会保障ですが、年金については、外国人労働者がもらえる可能性は、永住権に切り替えない限り、ほぼあり得ません。産経の指摘する社会保障とは、病院治療代のことかと思います。通常、長期滞在ビザを申請する場合、健康診断を要求されます。それも、不正防止のため、指定医のみの健診です。そこでなにか病気や将来的に治療費がかかるおそれがある場合は、申請は却下され、保険料増大への歯止めがかかります。たしか、妊婦も制約されたと記憶しています。つまり、制御可能であります。
教育については施す必要があるでしょう。いや、そうすべきです。日本語教育のみならず、日本での生活を心地よくするための教育のクラスは設定すべきで、これは日本にとっても外国人労働者にとってもメリットのある話です。「そんなお金もったいない」と言われればそうですが、「世界の一流国たるもの、5年で26~34万人程度の外国人労働者に対する日本についての教育くらいできないでどうするのか」と思います。いや、それ以上に、日本で日本についての教育をすることによる歴史認識などへの新たなる理解が深まるかもしれません。(つづく)
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