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2018-11-13 00:00
(連載1)時間経過と共に日本国が不利となる日中経済関係
倉西 雅子
政治学者
アメリカのペンス副大統領の演説が米中新冷戦の始まりを告げたとも評される中、先の安倍晋三首相の中国公式訪問は経済優先の感があり、その先行きが危ぶまれております。経済的利益が期待される一方で、必ずしも日本経済にプラスに作用するとは限らず、最悪の場合には、アメリカの対中経済制裁に中国経済が耐えられず、日中心中に終わるリスクもあります。そして、それが安全保障上のリスクと背中合わせなだけに、来るべきリスクへの対応は緊急を要します。
経済分野における日中改善の評価の多くは、短期的な利益予測に基づくものです。首相訪中に帯同した日本企業の中にも、中国市場への参入や中国との共同プロジェクト等のチャンスを得た社も少なくなかったことでしょう。一帯一路構想への間接的、否、裏口からの参加とも目される第三国でのインフラ事業共同融資事業などもこの一例です。先走って‘日中合作時代’の到来を予測する識者もおられますが、日中関係の深化は、時間が経過するにつれ、日本側にとりまして、政治経済の両面において不利な方向に傾斜してゆく可能性は否定できないように思えます。
例えば、上記の第三国でのインフラ事業に対する共同融資事業にしても、日本国側には長期的な利益となるものは殆ど残りません。途上国に対するインフラ融資とはもとより高い収益性や経済支配ではなく、支援先の経済発展や生活レベルの向上が目的ですので、最悪の場合には融資が焦げ付き、日本国側が事実上の’連帯保証人’として損失を被るリスクもあります。一方、中国にとりましては、一部であれ、一帯一路構想上のプロジェクトが実現するのですから、世界支配に向けて一歩前進したこととなります。
また、連日の上海市場の株価下落や人民元の為替相場安、そして、米中貿易戦争から予測される外貨準備の減少からしますと、中国の金融市場はもはや安全な投資先ではなく、将来的にも有望な成長市場と判断することも難しいはずです。中国では、起業数が多い分だけ倒産数も多く、今後の景気悪化は後者を増大させますし、成功した稀な企業も、共産党の息のかかったテンセントやアリババに吸収される運命にあります。日中通貨スワップ再開に関する邦銀救済説が事実であれば、日系の金融機関は、参入どころか中国経済の崩壊を見越した撤退の準備を始める時期となりましょう。(つづく)
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