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2018-11-05 00:00
(連載1)リーマンショックについて
真田 幸光
大学教員
リーマンショックからちょうど10年が過ぎ、少し興味深いデータが示されています。未曾有の大恐慌から世界経済は回復したのでしょうか。様々な議論や考察がなされていますが、私は、「国際金融筋が主導する弱肉強食型の原始資本主義により発生した、行き過ぎた広義の信用創造によって吐き出された、何の担保もない貨幣の過剰流通により、お金がお金を生む投機世界に過剰資金が流れ込み、その投機性資金の動きによって、世界経済は発展する、しかし、投機に失敗すると世界経済は急落するという、ゼロ・サムのボラティリティの高い経済世界を生み、発展に対する期待と暴落に対する不安を常に抱えながら走っている世界を創出してしまった。」と考えています。そして、これはまた、「お金を持つ者は更にお金を生む機会に恵まれるが余剰資金を持たぬ者は投機の機会を持てず、この結果として、富の格差を拡大する遠因となっている。そして、こうした富の格差が現行世界の社会不安の根源となっている。」とも考えています。
こうした本題を解決する根源は、「世界に吐き出された過剰資金を回収することから始める。」とすべきでありますが、「過剰資金の回収は少なくとも短期的には、強烈な信用収縮を生み、景気大減速を齎す。よって、その資金回収は、ゆっくりと慎重に行わなければならない。」ということになり、だからこそ、基軸通貨発行国たる米国の金融当局は、徐々に金利を引き上げ、資金回収に入り、世界的に見た通貨供給量を適正水準にしようとしていると私は見ています。
もう一つの根源的な解決方法は、「資金需要が強い新興国の経済発展を促進し、通貨供給量に合わせた実体経済規模にまで世界のGDPを引き上げる。」という方法がありますが、これを実行すると、「新興国、中国本土やロシア、インド、ブラジルといった英米の世界秩序に対抗する勢力が拡大する懸念もあり、英米を中心とする世界の既得権益層は、これを好まない。」と見られ、こうした結果、私は、「リーマンショックからちょうど10年が過ぎましたが、世界経済の根源的なリスクは解消されていない。まずは一時、苦しくとも、世界的な大恐慌を覚悟してでも、世界にあふれ出た余剰資金を回収すべきである。」と思いますが、「現実との折り合いをつけようとすると、これは難しい。」ということになりましょう。
そして、実際には、リーマンショック直後、急激な信用収縮によって激減した通貨供給量により、売上高も激減、景気悪化を招く、これを解決すべく、主要各国政府は、「財政出動を伴う景気解決策を取る。」しかし、これら主要国のほとんどは国家財政の赤字傾向に悩んでいたことから、国債発行などを拡大、この結果、今度は民間部門のみならず、公共部門の負債が急拡大する。そして、これに懸念が出たギリシャでは、ギリシャ財政危機が生まれ、その延長線上で、ポルトガル、スペイン、イタリアを巻き込み、欧州財政危機問題を発症、世界経済は今も、こうした、「行き過ぎた広義の信用創造に基づく、バブル経済の突然の破裂不安を抱えたまま、進展している。」と言えましょう。実際に、現行の世界では、リーマンショックが発生した2008年9月当時に比較して、むしろ、世界的な債務の増加を見せています。民間企業の債務残高が増大し、過剰債務問題に関しては、中国本土企業を中心に、多くの国で債務残高が増加しています。そして、今回は、上述したした通り、その民間部門の負債増加に加えて、公的部門の負債増加も見られており、万一、これが破綻をきたすと、リーマンショック以上の悪影響をもたらすものと懸念されます。(つづく)
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