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2018-10-29 00:00
(連載1)アメリカの対中FTA阻止条項要求
倉西 雅子
政治学者
報道に拠りますと、ロス米商務長官は、ロイター通信とのインタヴューの中で、日本国、並びに、EUがアメリカと通商協定を結ぶに際し、中国等を念頭に非市場経済国との間でFTAを禁じる条項を設ける意向を示したそうです。この条項が新たな日米通商協定に盛り込まれるとしますと、日本国は、中国も加盟国となるRCEPを締結することは不可能となります。
日本国政府は、TPP11に次いでRCEPの成立を急いでおり、年内での大筋合意を目指して交渉を加速させようとしています。アメリカの方針は、いわば、この流れに水を差した格好となりますが、RCEPが内包するリスクを考慮しますと、日本国にとりましては、アメリカの要求はRCEPへと向かう危険な道から引き返すための‘渡りに船’なのではないかと思うのです。
アメリカの要求は、交渉相手国に対して、自由に通商協定を結ぶ権利に制約を課しているため、一見、極めて傲慢で他国の主権を侵害しているようにも見えます。しかしながら、アメリカにも、自らの政策に沿う国を通商協定の相手国として選ぶ自由がありますので、アメリカが、自国の求める要件を充たしていないことを理由に日本国との新たな通商協定の締結を拒否すれば、‘それまで’ということになります。言い換えますと、同対中FTA阻止条項とは、日本国に対して‘日米通商協定を選ぶのか、RCEPを選ぶのか’の二者択一の決断を迫っていると言っても過言ではないのです。
これまで、日本国政府は、アメリカと中国との間の巧みに泳ぐような通商政策を展開してきました。しかしながら、ここに来て、終にどちらか一方を選択すべき時期が到来しているようです。それでは、日本国は、アメリカと中国という選択肢の内、どちらを選ぶのでしょうか。この選択については、今やアメリカを抜いて中国が日本国の最大貿易相手国となっていることから、経済界を中心に中国を選ぶべしとする意見もあるかもしれません。しかしながら、以下の理由から、日本国は、迷わずアメリカを選ぶべきです。(つづく)
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