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2018-10-09 00:00
三船先生の投稿「『一帯一路』日中協力で日本が留意すべきこと」に賛同する
四方 立夫
エコノミスト
2018年10月2、3日付け三船恵美先生の投稿「『一帯一路』日中協力で日本が留意すべきこと」に賛同致します。先生のご懸念に2点追加させて戴きます。昨年秋の党大会で「習近平一強」が固まったかに見えた頃を境に、中国の過剰債務、過剰生産、ゾンビ企業、等の国内経済問題の深刻さが一般にも広く知れ渡るようになると共に、「一帯一路」に対し「受恵国」が「新植民地主義」として反発を強めてきたことに呼応して、中国は再び「韜光養晦」、「微笑外交」、「日中友好」に転じ、我が国に対し技術と資金の提供を求めてきております。
2017年末の中国の非金融部門の債務残高はGDP比253%とバブルの様相を呈しており、中でもシャドーバンキングはGDPの9割弱にも達しておりますが、特に債務保証は突然そのリスクが顕在化することから実質的には融資以上のリスクがあります。2017年秋の党大会後、中国政府は過剰債務を削減すべく引締めに転じましたが、米中貿易戦争の長期化が予想される中で再び緩和に向かいつつあります。過去、世界金融危機は10年毎に発生しており、リーマンショック後10年目の今年の米国経済は好調のように見えますが、GAFA (Google, Apple, Facebook, Amazon)を始めとしたIT企業の巨額の時価総額は「ITバブル再び」を彷彿させるものであり、何時何処で金融危機が発生してもおかしくない状態である、と危惧します。リーマンショックの際は米国がG20を招集し、米国と欧州の金融緩和、並びに中国による4兆元の財政出動、を中心とした国際協調により乗り切ることができましたが、現在の世界はおよそ国際協調とはかけ離れたものであり、何処で危機が発生しても中国を始め世界経済に甚大な損害を与えることになる、と懸念しております。
更に、中国国有企業のROE(自己資本利益率)の平均は2007年の15.6%から2017年は7.0%と半分以下に低下し、欧米平均の半分以下となりました。即ち、経済の構造改革が一向に進まず、国営企業同士の合併が盛んに行われた結果、反って経営効率が低下しているのが実態です。国家資本主義の矛盾、即ち「独裁体制vs市場経済」の矛盾、が益々拡大しており、我々は今後ともより一層中国国内経済を注視していく必要があると考えます。
一方、マレーシアによる中国主導のプロジェクトのキャンセルに見られる通り、一帯一路に対する「受恵国」の反発が拡大する中で、日本企業は「日中関係改善」に乗じ、自動車産業を始めとして積極的に対中投資に乗り出しており、中には現地企業とのAIの共同開発、IOTに於ける戦略提携、などITの分野に於いて中国との協力を模索する会社もあります。ITに民生用と軍事用の境が無いことから、中国に流出した日本のIT技術が翻って我が国の経済のみならず安全保障上の脅威にもなるリスクが否定できません。米国に於いても2019年会計年度の国防授権法に盛り込まれる形で2018年外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)が成立すると同時に、輸出規制改革法が成立し、輸出管理規則(EAR)の強化が図られておりますが、米国のIT産業は挙って中国に進出し、米国の足元からIT技術が流出していくことが不安視されます。米中貿易戦争の根底には、「中国製造2025」に基づく中国のITを始めとする先端技術の「自力更生」に端を発した技術覇権を巡る米中のせめぎ合いがありますが、9月の日米共同声明にもある通り、日米欧が協力して対中IT技術流出防止を図ると共に、WTO改革を推進していくことが喫緊の課題であると思量致します。何れにせよ「中国の夢:中華民族の偉大なる復興」を掲げる中国に対しては、常に警戒心を持って是々非々で向き合っていくことが肝要であると考える次第です。
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