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2018-09-26 00:00
(連載2)自由貿易主義の盲点
倉西 雅子
政治学者
巨大化する中国企業に対抗するためには、複数の国内企業が合併して規模を拡大する方法もありますが、競争秩序の維持を最優先とする自国の競争当局から阻止される可能性があります。あるいは、海外企業と合併する道もありますが、大型合併ともなりますと、今度は、ライバル潰しに躍起になっている中国の競争当局から阻止されるかもしれません。グローバル化の時代は大競争時代とも称されるように、競争の激化が予測されているものの、現行の国際経済体制では規模の優位性が作用し、‘巨大中国企業群’による事実上のグローバル市場の独占ともなりかねないのです。
それでは、こうした事態を防ぐ方法はあるのでしょうか。ドイツでは、既に中国企業による自国企業の買収に対して安全保障上の理由から制限を加える方向に舵を切り替えており、この買収規制に関する政策方針は、アメリカのトランプ政権とも共通しています。第一の方法は、個別の国家による規制強化です。現状では、さらに踏み込んで既に巨大化している中国企業に対して分割を命じる競争当局は出現していませんが、自国市場に影響を与えるケースについては自国の法律を適用するとする効果主義に基づけば、国内法の域外適用に踏み出す国も現れるかもしれません。
また、第二に考えられる方法は、WTO改革に際して、各国の市場規模の違いに考慮した競争法に関する規定を設けることです。乃ち、競争状態を維持すべく、企業規模に対する一定の制限をグローバル・ルールとして設け、WTO、あるいは、新設する‘世界競争機関?’に国際レベルの競争法の執行に当たらせるという案です。何れにしても、国家レベルの競争法とグローバル市場との間には齟齬、あるいは、不整合性があり、それが、中国の国家戦略に利用されているのです。
これらの他にも様々なアイディアはあるとは思いますが、今日という時代は、自由貿易や国境の開放を闇雲に推し進めるよりも、これらが内包する欠点にこそ注意を払うべき時代のように思えます。中国共産党をバックとした‘中国企業群’がグローバル市場を凡そ独占する未来を人類の理想郷とみなす国も人も、中国を除いて世界には殆ど存在しないのですから。(おわり)
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