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2018-09-22 00:00
(連載2)経済の出口
緒方 林太郎
元衆議院議員
その最悪のシナリオの時、日本政府、そして国会は選択を迫られます。「大増税+超財政緊縮」か、「国債の日銀直接引き受け」のどちらかです。いずれも国会の議決が必要です。後者は国債の信頼性を著しく下げ、ひいては日本経済の信頼性を下げるため、最終的にはハイパーインフレになるでしょう。上記で引用したコントで言うと、正にパツンパツンに伸びたゴムが顔にパチーンと当たる感じです。
色々な方が「それでも日本経済は大丈夫」と言う説明をされます。「対外純資産が多い」、「政府は資産を持っているので純債務の規模はそこまででもない」、「日本銀行がすべて国債を買い切れば財政再建は終わる」。これらが大体の説明ですが、どれもこれも説得力が殆どありません。それらが正しいのなら、「1京円(今の10倍)国債を立て、日本銀行にすべて買わせて、それでインフラ投資に全部突っ込んでも大丈夫」という理屈になります。もっと言うと、それらの説明が可能なら世界征服だってやれちゃいます。なので、今、財政再建を本当に真面目にやらなくてはならないのです。「国債が増えても、経済成長率の方が高ければ国債の対GDP比は抑え込める」、この法則は基礎的財政収支(プライマリーバランス)が均衡している時だけにしか通用しません。今は基礎的財政収支が大赤字です。是非、この法則が適用できるところまで財政を改善し、かつ、同時に安定的な成長が出来るように潜在成長率を上げましょうという事にしかなりません。今、政府がやっているように、「成長率はかなり高いんだけど、金利はかなり低い」という粉飾予想により目くらましをする事は意味の無い事です。
最近、安倍総理は「3年以内に出口」という発言をしました。あえて、予言しておきます。自分の政権の間には「出口」は探さないでしょう。そして、次の政権は間違いなく悶え苦しみます。次の政権が「出口」を求めなくても、マーケットから「はい、ここが出口ですよ」と指さされ、出口の前に日本経済が立たされる事も大いにあり得ます。場合によっては上記の最悪のシナリオだって来かねません。その時、批判を受けた安倍(前)総理は「自分の時代は良かっただろ。今、悪くなったのは自分の責任じゃない。」と言うはずです。最近の発言は、何となくそういうシナリオを描こうとしているように聞こえます。そうさせてはいけないのです。
今、日本経済がマーケットにまだ、信頼されているのは「財政再建の余地がある」と思われているからです(それが無くなったら、つるべ落とし状態になります。)。その信頼が残っている間に、「今の政策は短期的には意味があった。ただ、そもそもが日本経済そのものの耐久性チャレンジ競争みたいなもので、長く続けた時点でアウト。財政再建を強く推し進め、マーケットの信頼を維持すべき。もう残されている時間は殆ど無い。」という認識を安倍総理に持ってもらう必要があります。しかし、残念ながら、与野党含めてこういう議論をしないですね。一部野党は「バラまき合戦」に加わっています。「見ざる、言わざる、聞かざる」の3匹のサルが日本のあちこちを闊歩しています。(おわり)
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