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2018-08-20 00:00
日本の外交が向かうところ
岡本 裕明
海外事業経営者
政治の世界も夏休みに入り、多くの世界の指導者たちが休暇や外遊でしばし動きが少なくなります。日本では9月の自民党総裁選を控え、総裁選立候補者たちの汗だくの対応が進むことでしょう。産経FNNの合同世論調査(2018年7月23日、産経ニュース電子版)で自民党支持層が選ぶ次期総裁にふさわしい人は安倍首相が49.1%と安定しており、ほかの候補を圧倒しています。なぜ安倍首相なのか、という点で「安倍政権の外交政策を72.1%が支持しており、激変する北朝鮮情勢への対応など、首相の外交手腕への評価が堅調な支持率を支えているとみられる」と解説しています。安倍首相は就任時、経済に強い首相との触れ込みでしたが、アベノミクスや構造改革は最近ではその言葉さえ聞かなくなりました。むしろ、外遊の圧倒的多さとトランプ、プーチン氏を初めとするキーパーソンとの積みあげた交友が外交期待にとって代わっているのかもしれません。
では2020年ぐらいまでの中期的期間で日本が目指す外交はどんなことがあるでしょうか?私は基本的に日本は大国と違い、あまり強い色を出さない調整型国家であると思っています。大国とはすなわち、米中ロであります。調整型の主要国としては英独仏加があり、日本もその中に入るのではないかと思います。となれば3つの大国が今後どのような色を出してくるのか次第で調整の方向性はある程度見えてきます。私の個人的見方はアメリカの基盤強化、中国の内紛、ロシアの経済苦悩、つまり、1強2弱とみています。仮にこれが正しいとすれば日本が進める外交はどのようになるでしょうか?
1つは強くなりすぎるアメリカからの外交圧力を多少躱す必要が出てくるかもしれません。安倍首相はトランプ大統領とかなり個人的親交は深いようですが、ビジネスである外交交渉の相手としては対等の立場に立てていません。あくまでも日本はアメリカの同盟国の一つであるとみている節があります。悪く言えば利用されているかもしれません。2つ目は中国と外交ディールを進める余地があるかもしれません。習体制がやや弱体化する方向にあれば中国にとって日本を敵に回すのは絶対的に不利になります。とすれば日本をあまり刺激しないようにする可能性はあるでしょう。日本としてはその間、東南アジアやアフリカなどでのビジネス交渉の巻き返しのチャンスであります。3つ目に朝鮮半島外交ですが、私はしばらく放置プレーでいいとみています。すっかり名前が出なくなった文大統領は北朝鮮外交が思ったように進まない苛立ちがあるのでしょう。その北朝鮮問題は難航し、ポンペオ国務長官の努力にもかかわらず、朝鮮戦争時の米兵の遺骨返還以外は進捗しているとは思えません。一時は盛り上がりましたが時間がたってみれば「お祭り騒ぎ」だったのか、という気がしてなりません。安倍首相が半島外交に力を入れるのはまだ先でいいとみています。4つ目ですが、個人的にはTPP11への参加に興味を示す英国ともう少しタイトな連携をとるのは戦略的に面白いとみています。そうです、あの日英同盟の復活です。「腐っても鯛」といえるのが英国。EU離脱がどうなろうと英国が持つその能力は捨てたものではなく、それ以上に同じ島国として極めて似た体質を持っている点は改めて評価すべきでしょう。5つ目はロシアですが、日本の対ロシア外交は北方領土問題が必ずついて回ります。竹島や尖閣諸島と違い、この島々には住民がいてインフラ基盤がある点が異なります。これを返還させる議論は100年やっても平行線かもしれません。ならば切り口を変えてまずは共同統治による開発推進で双方が経済的便益を得るというステップを踏んだらどうかと考えます。そのうえで安定感はとても悪いのですが、日ロ経済関係の強化を本格的に進めたらどうでしょうか?
地球温暖化で案外、北海道より北が居住に適する地になる可能性はあります。農業も漁業も北へ上がってきている点は一考の余地があるでしょう。他にも対東南アジア、インド、欧州、アフリカなど切り口はいろいろあります。外交に強みがある安倍首相であるならば外遊で親交を深めるばかりではなく、がっつんと得るものを得る充実した対外政策を推進できるようにして頂きたいものです。
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