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2018-08-09 00:00
(連載2)朝鮮戦争は‘米ソ代理戦争’という複雑化要因
倉西 雅子
政治学者
西側陣営の行動は東側陣営の攻勢に対する受け身であれ、朝鮮戦争が冷戦期における米ソ代理戦争の側面を帯びていたことは、今日にあって、なおも同戦争の終結を困難としています。何故ならば、仮に‘平壌裁判’の設置によって司法解決に至ったとしても、東アジアにおける軍事バランスの問題が残されてしまうからです。現状を見れば、ソ連邦の後継国であるロシアは、ウクライナやクリミア半島で牙を剥いたようにその覇権主義の旗印を降ろしていませんし、中国に至っては、共産党一党独裁体制の下で軍事大国化の道を邁進しております。
‘東側陣営’の世界戦略は朝鮮戦争当時と変わっていないどころか、むしろ、中国の台頭によって強化されていると考えざるを得ないのです。言い換えますと、中ロの覇権主義が終焉しない限り、根本的な問題は全く解決されないのです。このことは、朝鮮戦争を完全に終結させるには、司法解決のみでは不十分であることを意味します。朝鮮半島の安定には、まずは、米中ロの軍事大国を含む当事国間による、朝鮮半島の勢力圏に関する合意の形成という方法が検討されましょう。
もっとも、この方法、極めて平和的な解決手段にも見えますが、中国が勢力拡大の意図を隠さなくなった今日、一時的な妥協としての大国間合意も根本的な解決をもたらさないかもしれません。近い将来、米中の軍事力が逆転した途端、この手の弥縫策的な合意は、即、空文化することでしょう。八方塞に見える中、それでは人類は、どのようにしてこの問題に対応すべきなのでしょうか。
仮に、朝鮮戦争のみならず、国際社会における様々な紛争の背景に、大国の覇権主義という問題が潜んでいるならば、実のところ、人類は、この扱い難く、かつ、大国からの抵抗も受け易い問題にこそ真摯に取り組むべきなのかもしれません。特に中国は、全世界の諸国を支配下におさめかねない極めて危険な軍事大国に成長しつつあります。基本に立ち返ってみますと、共通のルールや行動規範の下で、全ての諸国が相互に権利と自由とを享受し得る状態こそ、国際社会の理想でもあります。人類が理想に近づくためには、日米を含め、自由主義諸国は、他国の安全保障を脅かす中国の国家体制を崩壊に導き、法の支配に基づく国際法秩序を構築すべく、より高度な戦略を展開する必要があるように思えるのです。(おわり)
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