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2018-08-03 00:00
(連載2)‘ユダヤ人’は他民族の自決権をも尊重を
倉西 雅子
政治学者
また、カール・マルクスを始め、‘ユダヤ人’の中には、民族の固有性に関心を払わず、‘唯物的世界観’や‘世界市民主義’的な理想論を掲げる思想家も少なくありませんでした。常に諸国にあって‘異邦人’であった‘ユダヤ人’には、おそらく、他の一般の国民に対する反感や否定的な感情が、迫害に対する恨み、あるいは、逆恨みと混然一体となって染みついているのでしょう。
同法案は、その意図するところの解釈に難しさがありますが、「イスラエルはユダヤ人にとって歴史的な母国であり、民族自決権はユダヤ人の独占的権利」と書かれており、一読しますと過激な表現にも思えます。しかしながら、逆に、民族自決権が他民族にも開放されれば、植民地支配や異民族支配、あるいは、移民支配は簡単に成立しますので(もっとも、イスラエル居住するアラブ系国民は先住している…)、何れの国の固有民族にあっても、民族自決権は、‘手放したら最後’となる死活的権利です。今日の基本的な国際体系は、人類の人種・民族・民族的気質の違いによる枠組を基礎とする国民国家体系ですので、歴史的民族の枠組の消滅は、国家、即ち、祖国の消滅をも意味しかねないからです。
法文に見られるイスラエルの民族自決権への執着は、ある意味において、自らの祖国を維持したい全ての民族の自然な思いの極端な形での表現なのですが、‘ユダヤ人’が、移民推進政策を世界規模で後押ししていることを踏まえますと、民族自決権力を自らの民族にしか認めようとはしていないようにも思えます。ここに、‘ユダヤ人’の選民思想の問題点としての深刻なダブル・スタンダードが見て取れるのです。神から選ばれた‘ユダヤ人’だけが、唯一の民族、あるいは、超人類であり、他の民族は雑多な‘烏合の衆’としてその被支配者か、あるいは、下等な別種として扱いたいのでしょうか。仮に、そうでありましたならば、この傲慢で冷酷な態度こそ、ユダヤ人迫害、あるいは、反ユダヤ主義を引き起こしているとも想定されます。あるいは、現在、‘ユダヤ人’は、自らも国民国家の一つとなることを認めるイスラエル派と全世界支配を目指す非イスラエル派に分裂しているのでしょうか。
人とは、‘自らを尊重する相手を尊重する’とされていますが、果たして、‘ユダヤ人’は、対等な立場から他の民族を尊重し、隣人として暖かい眼差しを以って接してきたのでしょうか。‘ユダヤ人’もまた、自らの来し方を自戒すべきなのではないかと思うのです。(おわり)
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