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2018-07-06 00:00
(連載2)非核化費用を日本はどう捻出するか
中村 仁
元全国紙記者
日本のGDP(国民総生産)は5兆ドル、国家予算は100兆円です。韓国のGDPは1.4兆ドル、国家予算は日本の半分です。核廃棄のやり方によって、つまり核兵器、核物質の完全廃棄、施設の破壊、人材の転用をどの程度まで進めるのかで金額は左右されます。200兆円という試算が正しいと仮定すると、両国が国家予算1年分をつぎ込んでもまだ足りない。そんなことができるはずはない。これらはすべて仮定の話ですから、関係者は真面目にはまだ考えていない。多くの関係者は、米朝合意の実現を疑っていますから、本気で試算しておく意味はない。意味があるとすれば、IAEA(国際原子力機関)による査察をどの程度の規模から始め、それにいくらかかるかでしょう。
私が疑問に思うのは、北朝鮮対策で資金がかかるだろうから、日本の財政基盤をしっかりさせておかなければならないのに、安倍政権は本気でなさそうなことです。財政健全化目標の達成時期を当初の20年度から25年度まで先送りすることを決めました。しかも、財政運営の基盤になる経済成長率を3%台(名目)と高めに設定しています。成長率を底上げして税収が増えるように見せかけているのです。また、日銀のゼロ金利政策、財政ファイナンス(国債購入)を転換しなければならなくなる時期がきます。その時がくれば、すべての計算が狂ってきます。
さらに、自民党の安全保障調査会は、将来の防衛予算の参考値として、「GDP比2%(現在は1%)」に引き上げることを提言しました。恐らく、安倍首相の示唆によるものでしょう。現在の5兆円を倍にする計算です。どこからそのおカネがでてくるのでしょうか。今回の米朝合意が達成できれば、安全保障環境は好転し、防衛予算の抑制効果がでてくるはずです。自民党の関係部会は「そうなったところで、今後、対中国政策を強化する必要があるので、防衛予算を増やしていく」と、みているのでしょう。
拉致問題を解決するために、安倍首相は日朝首脳会談を希望しています。金委員長が日本の足元を読んで、経済支援を要求してくるでしょう。それも半端な金額ではない。とにかく安倍首相の政治的生命線である朝鮮半島関連にこれからいくらカネがかかるか分かりません。そのためにも、財政再建をきちんと進めていくべきなのです。(おわり)
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