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2018-06-22 00:00
(連載1)やはり、日本にも「ネウボラ」が必要だ
長島 昭久
衆議院議員/元防衛副大臣
またしても、悲劇が起こってしまった。東京都目黒区で、親から虐待を受けた5歳の結愛(ゆあ)ちゃんが尊い命を奪われた。「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」覚えたてのひらがなで綴った結愛ちゃんの痛切な言葉に、胸を締め付けられた。この小さな命を、なぜ救えなかったのか?誰しもが思ったことだろう。
年間の児童虐待通報件数は、この10年上昇の一途。ついに年間12万件を超えた。そのような中、虐待によって命を落とすケースは、年間およそ300件とされる。毎日一人の子どもの命が家庭内虐待によって奪われていることになる。なんということか!虐待の通報(通告)は、児童相談所(児相、都道府県を中心に全国210か所)に集まる。だから、虐待問題が発覚するたびに児相は批判にさらされる。今回も、香川県で2度も結愛ちゃんを一時保護(そのつど義父は傷害罪で逮捕されている)しながら、なぜ児童福祉司による指導措置を解除してしまったのか?東京都の児相への事案の引継ぎは適切になされたのか?東京都の品川児相はなぜ事案を引き継いで48時間以内に家庭訪問しなかったのか?(実際の訪問は事案引継ぎから9日後、しかも結愛ちゃんを確認できず)・・・など、疑問と批判の声が噴出した。
じつは、児童虐待が急増する今、児相の現場は火の車なのだ。児相職員は一人100件近くの事案を抱え日夜苦闘し、精神疾患で離職する職員も続出している。もちろん、厚生労働省とてこの状況を看過しているわけではない。同省は今、人口4万人に一人の児相職員の配置を目指す取り組みを進めている。わずか数年前まで6万人に一人が目標だったことを考えれば、たしかに政策的努力の跡はうかがえる。それでも、人口4万人なら(子どもの数は総人口の約12%だとして)児相職員一人で5000人弱の子ども達を相手にする計算だ。とてつもない数字だ。もっとも、そのうち虐待が疑われる家庭はどのくらいあるのだろうか。
ここに参考となりそうな数字が二つある。一つは「5%」、もう一つは「20万人」。前者は、法律で定められた乳幼児健診を受けていない子どもの比率だ。すなわち、我が国では、母子保健法に基づき乳幼児健診が義務付けられている。1歳半と3歳児健診は法的に定められ、その間も必要に応じて健診を推奨されている。ところが、受診率はというと、それぞれ95.7%、94.3%となっている。つまり、約5%の子どもが法律で義務付けられている乳幼児健診を受けていないのだ。この5%の子ども達が、潜在的な虐待、少なくとも「社会的孤立」に陥っている可能性が高いと考えられる。そうだと仮定すると、(もちろん、地域差はあるが)児相職員一人が対象とする潜在的な被虐待児童は、5000人の5%、つまり200-250人となる。さきほどの「一人で100件」という実態のおよそ倍の数字だ。したがって、厚生労働省の人口4万人に児相職員一人という目標では到底追いつかないことは明らかだ。(つづく)
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