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2018-06-14 00:00
(連載2)移民受け入れ拡大方針
倉西 雅子
政治学者
第2に、AIやロボットの導入による将来的な雇用の減少予測についても、政府は、頑なに耳を塞いでおります。これらの普及が先行した金融分野では、既に大幅な人員削減が行われています。国内において失業率が上がったとしても(現状でも、国内にはニート状態の人々もいる…)、政府は‘数値目標’を計画通りに達成すべく関連省庁を挙げて2025年までには50万人超えの移民を受け入れるのでしょうか。しかも、新資格のみで50万人ですので、他の資格による受入れ移民数は、この数字を大きく上回ることでしょう。一般の日本人が将来に雇用不安を感じている中、政府は移民拡大に邁進しているのですから、誰がどう見ても、政府の方針と国民意識がかみ合っていないのです(移民拡大とAI・ロボットの普及は両立しない…)。
第3に、「選ばれる国」と表現した理由は、先進国のみならず、新興国においても近い将来人手不足が深刻化し、移民が“売り手市場”となることを想定しています。つまり、受け入れ国は、‘最大限の優遇措置をとりますから、是非、我が国に来てください’と揉み手で移民にお願いする立場にあると見なしているのです。しかしながら、どの国も移民受け入れに消極的であり、むしろ、EU等では押し付け合っている現状があり、この発想は、現実と乖離しています。日本国内を見ても世論は移民受け入れに反対であり、仮に揉み手で移民を歓迎する人々が存在するとしますと、それは、人材派遣業者といった一部の事業者なのではないでしょうか。また、ロボット先進国と化した中国が国内的には人件費の高騰を押させるために雇用を減らす一方で、余剰労働力を海外に送り出すために日本国の移民受け入れ政策を利用するとしたら、これ程馬鹿馬鹿しいお話もありません。
そして第4に挙げられる点は、「選ばれる国」の真の意味は、移民自身ではなく、仲介事業者によって‘選ばれる’という意味なのではないか、という疑いです。海外から移民労働者を受け入れる場合、通常、企業から請け負った仲介事業者が現地で募集作業を行います。移民の人々は、自ら自発的に国を選んで個人的に移民するのではなく、仲介事業者の募集に応じる形で海外に労働者として向かうのです。となりますと、仲介事業者は、自らのビジネス繁盛のために、各国政府に優遇政策を導入するよう積極的に働きかけていると推測されます。しかも、各国政府を‘受け入れ競争’に狩りたてているのですから、全く以って狡猾なのです。
以上に述べてきたように、日本国政府による‘移民ファースト’の政策は、到底一般の日本国民が納得できるものではありません。かくも傲慢で無神経な態度を見ますと、日本国政府は、経済的利益の最大化と国家破壊の一石二鳥を狙う国際勢力(新自由主義+共産主義)によって擁立された‘悪代官’なのでしょうか。政府とは、本をただせば国民のためにこそ存在するのですから、決して’悪代官’になってはならないと思うのです。(おわり)
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