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2018-06-13 00:00
(連載1)移民受け入れ拡大方針
倉西 雅子
政治学者
6月6日の日経新聞の朝刊一面には、「外国人就労 拡大を表明」の見出しで、安倍首相が前日5日の経済諮問会議で外国人労働者の受け入れ拡大を表明したと報じています。この記事には「選ばれる国」への課題とする小見出しが付されているのですが、この発想、本末転倒ではないかと思うのです。
同会議において首相は「移民政策とは異なる」と説明しておりますが、国際移住機関(IOM)では、移民を「当人の (1) 法的地位、(2) 移動が自発的か非自発的か、(3) 移動の理由、(4) 滞在期間に関わらず、本来の居住地を離れて、国境を越えるか、一国内で移動している、または移動したあらゆる人」と定義していますので、これに当て嵌めれば、その資格の如何に拘わらず、外国人就労者はれっきとした移民です。おそらく、公約違反、あるいは、公約からの逸脱となることを怖れて‘移民’という表現を避けたのでしょうが、国民の側からしますと、政府に騙し討ちにされた気にもなります。
こうした言葉の誤魔化しも然ることながら、この政策に潜む悪意は、“選ばれる国”という表現に凝縮されております。何故ならば、政府、並びに、その背後で蠢く国際勢力は、移民の受け入れを当然視するに留まらず、‘移民側のみに移住先の国家を選ぶ権利がある’と見なしているからです。逆に言えば、移民を受け入れるか否かの選択肢は、受け入れ国の国民には無いということになります。しかも、この政策は、決して合理的でもなければ、必然性もありません。
第1に、移民受け入れ拡大の理由として挙げられている‘人手不足’は、根拠脆弱です。例えば、兼業農家が多数を占める農業分野における人手不足説は怪しい限りです(少なくとも稲作は凡そ機械化されている…)。それでも移民の必要性が強調されているとしますと、そこには、日本の農業形態を南北アメリカ大陸やアフリカ等に見られるプランテーション型へと転換させる意図が隠されているのかもしれません。本来、日本国の農業の未来については国民的な議論の下でコンセンサスを形成すべきところなのですが、国際勢力をバックとした政府は、外国人農業労働者の既成事実化によって、日本の農業形態を根底から崩しにかかっているように見えるのです。しかも、他の解決方法を模索しようともせず、各分野における‘人手不足説’に対する疑問に対しても、自らが恣意的に設定した推定数で押し切ろうとしています。(つづく)
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