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2018-04-11 00:00
(連載2)米国の通商外交姿勢と日中韓について
真田 幸光
大学教員
米国による輸入規制は、ほとんどが中国本土を対象とすることから始まりましたが、合わせて、米国政府は一部の韓国製品に対し反ダンピング関税を課すことを決め、その対象品目の6割近くが、米国による中国本土への反ダンピング規制対象品目と重なっているのであります。こればかりか、米国政府による規制措置内容によっては、中国本土の対米輸出が減少し、その結果として、韓国から中国本土への中間財の輸出が減ると言う二次被害を受ける可能性もあります。
これに対して、日本は、様々な視点からの「日米協調」をベースに、また、貿易の米中依存度、貿易のGDP依存度が韓国よりは低く、更に対中依存を減らしてきたことから、韓国よりも影響は限定的と見られます。更に、防衛連携の中身も濃く、こうした側面からも被害は相対的には低いと見て良いでしょう。但し、私は、トランプ大統領は、日本に対して、それほどまでに好意的であるとは見ておらず、韓国ほどの通商圧力を掛けぬ一方で、1.在日米軍の費用負担の増加、2.米国側の防衛装備品の高額購入増加と言う圧力を日本に掛け、結局は、「アメリカ・ファースト」主義を実行し、米国にとっての利益を追求してくると思います。「義の無い大国」である米中に挟まれた日本と韓国は厳しい状態が続くものと思います。
一方で、当事者たる米中両国は、ここに来て、激しいつばぜり合いを更に展開しています。私の見るところ、北朝鮮とシリア問題で後手に回り、対露関係で苦戦をする米国・トランプ政権が、中国本土との関係に於いても貿易問題でがっぷり四つに組もうとしており、大丈夫なのかとさえ感じているところです。即ち、例えば、米中間の為替問題でも、「米国が、更なる人民元安を迫れば中国本土の対米輸出が増え、逆に更なる人民元高を迫れば、人民元の国際化をより一層助長しかねない。」状況にあり、また、米国が対中輸入制限を実施すれば、「生活消費財の一部を中国本土に大きく依存する米国は、米国民に結局は迷惑を掛ける。」ことにもなりかねず、対露問題に続き、対中問題でも、米国は苦戦を強いられる可能性があると私は見ているからであります。トランプ大統領は、こうした中、「今回の措置は必ずしも中国本土だけを対象にしていない。」などの主旨の発言もし、硬軟織り交ぜた対中対応をしていますが、こうしたトランプ政権の交渉姿勢を中国本土は見透かしているようにも思われます。そして、こうした中、トランプ大統領は、中国本土に更にけんかを売るような形で、「中国本土の輸入品1,000億米ドル分に関税を上乗せするのが妥当かどうか検討するように。」と米国の通商代表部(USTR)に改めて指示を出しています。中国本土の報復に対抗し、当初の関税案から上積みをする姿勢を示したものと見られています。これに対して、中国本土も更に報復で応じると表明しています。
交渉巧みな中国本土に対して、トランプ政権は、「中国本土は違法行為を正さず、我が国の農家や製造業者に損害を与えることを選んだ。米国は、自由で公正かつ互恵的な貿易を達成するという責任をさらに果たし、米国企業や米国国民の技術や知的財産を守る為、議論をする準備ができている。」との姿勢を示していますが、「自国第一主義」を基本姿勢としているトランプ政権に、自由で公正かつ互恵的な貿易を達成したいと言われても、国際社会がこれを支持するでありましょうか?私には米国のこうした大義は通じにくいと映ります。そして、中国本土は、この通商問題とは別のディールで米国が譲歩するなど、何かの手をトランプ政権が示さぬと簡単には引かないと見ています。米中関係はがっぷり四つに組もうとしているように見られますが、今のところ、中国本土が優勢ではないだろうかと思います。(おわり)
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