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2017-12-26 00:00
見えてきたトランプ「アメリカ第1主義」
大井 幸子
SAIL代表
12月18日にはトランプ大統領が国家安全保障戦略を明確に打ち出し、また19日に共和党の税制改革法案が議会下院を通過した(再採決が必要だが)。トランプ政権発足から早くも1年近く経とうとしている中、具体的な「アメリカ第一主義」の姿が少しずつ顕れてきたようだ。その特徴は、一言で言えば、21世紀版「富国強兵」である。
まず、「富国」について。これまで大きな法案成立の実績がなかったトランプ大統領だが、ようやく30年ぶりとなる大減税法案成立の可能性が高まってきている。ただし、すんなり上院を通過するかどうかはわからない。その中身について、法人税減税、相続税減税がポイントと筆者は見ている。この法案が富裕層や不動産保有者を優遇するとの批判は、実際、的を射た批判である。現に中間層(特に中の下の層)の個人は減税の恩恵を2026年までは受けるがその先は長期的には実質増税になる。トランプ大減税の狙いは何か。ズバリ、米国自体が「世界のタックスヘイブン」となり、米国に世界の富を集中させ、競争力を取り戻すことである。具体的には多国籍企業を米国に引き戻し、さらに、世界の優秀な企業を米国で経済活動させ、国内の雇用を促進し、国を繁栄させることである。
次に「強兵」について。トランプ氏の国家安全保障戦略では、明らかにロシアと中国に対して「力による平和の維持」を打ち出している。米国は2000年に中国をWTOに加盟させ、自由貿易圏に取り入れて「世界の工場」へのし上らせた。今後は中国が他国の主権と貿易の自由を侵す存在であるとし、戦略上の位置付けを変えている。
国際秩序の基軸は、米州(南北アメリカ)とアフロ・ユーラシア(アフリカ、欧州およびアジア)の2極に分解し、欧州連合から離脱した英国がその漁夫の利を得ようとしている。2018年は、トランプ政権「新秩序」構想を巡り、世界の大変動が本格化しそうだ。
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