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2017-12-14 00:00
北朝鮮の“イスラムすり寄り”は無理
倉西 雅子
政治学者
北朝鮮は、国際法に違反して核・ミサイル開発を継続し、かつ、再三にわたる国連安保理決議による同計画の放棄要求を無視してきましたので、上記の対米批判理由には唖然とさせられるのですが、この批判は、北朝鮮が、エルサレム首都認定問題を機にイスラム側に味方することで、深まりつつある国際的孤立から脱しようとする意図があるとの解説があります。しかしながら、この北朝鮮の“イスラムすり寄り”は、無理なのではないかと思うのです。
イスラム教も、『旧約聖書』に記される“神”の啓示の下で成立しており、マホメットによる様々な“神”の言葉の他に、他の神を信じることを禁じると共に、偶像崇拝をも禁止する「モーセの十戒」をも継承しています。敬虔なイスラム教徒は、メッカに向かって毎日祈を捧げることはあっても、神像などの偶像を拝むことはしません。一方、北朝鮮は、共に独裁容認思想である共産主義と主体思想が入り混じったカルト国家です。宗教は麻薬と断じたマルクスに従い、既存の宗教は否定される一方で、独裁者は神格化され、国民に対してその像を“神”として礼拝する偶像崇拝が強要されているのです。また、ソ連邦でもロシア革命の指導者であったレーニンの遺体は永久保存処置が施されましたが、北朝鮮でも、金日成等の歴代の指導者の遺体は特別の廟に祭られています。北朝鮮は、世俗国家ではあっても、神ならぬ人を拝む偶像崇拝が体制化された国であり、イスラム教諸国とは対極にあるのです。
加えて、その解釈には様々な問題を含みつつも(例えば、イスラム教は「汝殺すなかれ」を無視)、「モーセの十戒」をも継承するイスラム教には、一先ずは、社会倫理や道徳としての行動規範がシャリーアなどの戒律として定められています。“神は善をなすものを愛す”とし、人々に善行を勧めてもいるのです。今般の北朝鮮の核・ミサイル開発は利己的暴力主義の極致にあり、イスラムの教えに照らしても悪行でしょうから、イスラム教諸国が、北朝鮮に対して積極的な連帯を示すとも思えません。否、北朝鮮に対する支援は、原理主義者のテロ等によって著しく損なわれたイスラム教に対するイメージをさらに悪化させないとも限らないのです。
北朝鮮は、“敵の敵は味方”の打算から対米批判声明を公表したのでしょうが、イスラム諸国は、同国の思惑通りには動かないのではないでしょうか。イスラム諸国にとっての北朝鮮は、“敵の敵は味方”ではなく、敢えて言うならば、“敵の敵は神の敵”なのですから。
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