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2017-12-05 00:00
米国の威信について
真田 幸光
大学教員
米国のトランプ大統領の就任以降、米国政府は、「保護主義的動き」を進めていると見られます。実際に、「アメリカ、ファースト」を唱えるトランプ大統領の姿を見ていると、これは間違いない動きと言えましょう。そして、例えば、ロイター通信は、今年5月にベトナムの首都・ハノイで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に関して、「米国と他の20カ国の保護主義に関する意見対立が浮き彫りとなり、共同で纏める閣僚声明の採択が見送られた。就任後初の国際舞台に臨んだライトハイザー米通商代表部(USTR)代表としては、トランプ政権が打ち出している“公正な貿易”という土俵に他国を引っ張り込むことができなかった」とコメント、そして、この11月のAPEC首脳会議でも共同声明は難航しました。
こうした動きを見る中、私が強く感じることは、「米国は自らの立ち位置によって、2国間国際協議を優先したり、多国間協議を優先したり、これを使い分けている」と言うことです。私が見るところ、昨今の、「米国の世界的威信の低下」の中、米国は、「多国間で、一気に物事を纏めていく力が米国にはもはや欠如している」と考えているものと思われ、更に、「このまま多国間協議を続けると米国の思惑から離れて議論が進みかねず、事態は難航の上、悪化する」と考えているものと思われます。
しかし、一方で、米国は世界各国と一対一で個別に戦えば、強者の立場を利用し、米国に有利な議論の展開ができると踏み、最近では、「2国間協議を好むようになってきている」と見られます。これは、TPP協議の展開の中にも見られ、私が見るところ、一旦、米国は2国間協議に持ち込み、大筋で米国にとって有利な状況を作り出すことが整えば、その際には、徐に、再び、「多国間協議に戻して、米国に有利な決議を取り付ける」と見ており、それが叶わなければ、「多国間協議に於いて、異議を唱え続ける」。そして、その結果、もしも、多国間協議の状況が整わなければ、全く新たな交渉の切り口を持ち出しながら、TPPに対する対応してくるものと思われます。
米国が、威信低下しているとは言え、まだ相対的には強い国であるが故に、こうした戦略が取れるのでありましょうが、ここにも、「強者の論理、強者の傲慢さ」が窺われます。これで良いのでありましょうか? トランプ大統領と米国には、大国、強者としての、「真の威信」を示してもらいたいものであります。そして、米国がそうなった時に改めて、「日本政府も、義を以って、“真に威信ある米国”との協調外交路線を採るべきではないか」と私は考えています。
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