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2017-11-24 00:00
(連載1)シンガポールについて
真田 幸光
大学教員
私が国際金融の仕事を通して知ったシンガポールという国は実に、「スマート」な国でありました。計画国家としての色彩が強く、秩序の中に国の方向性をしっかりと捉える、統制色の強い国であったとも言えます。また、英国との関係の深さなどを背景に、欧州国家との関係も深く、私が勤務していたドイツ系ドレスナー銀行のアジアのRegional Headquarterもシンガポールに置かれ、シンガポールには多くの欧州人が駐在していたことを今でも思い出します。
シンガポールの歴史を紐解くと、そもそもシンガポールでは2世紀頃に人々の定住が始まり、それ以降は一連の現地の帝国に属してきたと言われています。そして、今のシンガポールは、1819年にトーマス・ラッフルズがジョホール王国からの許可を得て、イギリス東インド会社の交易所として設立したことを基にするとされています。因みにシンガポールにある老舗ホテル・ラッフルズホテルはこのトーマス・ラッフルズに由来しています。そして、5年後の1824年には、英国はシンガポールの主権を取得し、1826年にはシンガポールは英国の海峡植民地の1つになりました。また、第二次世界大戦の間は大日本帝国に一時占領されましたが、終戦を経た混乱の後、1963年にシンガポールは英国からの独立を宣言し、マレーシアと合併しました。
しかし、その2年後に、シンガポールはマレーシアから追放されました。むしろ、これがシンガポールにとっては幸いし、それ以来、実力を持つ華人(例えば、有名な人物としてはリー・クワンユーシンガポール元首相)を中心に、英国をはじめとする欧州との連携も維持したことによって、シンガポールは計画経済を推進、急速に経済発展し、アジア四小龍の1角として認知されることとなったのであります。
こうしてシンガポールは今、貿易、交通及び金融の世界的な中心地の一つとなっており、世界第4位の金融センター、外国為替市場及び世界の港湾取扱貨物量でも世界有数の金融市場と貿易港を持つこととなり、金融・サービス並びに世界物流の重要な中継地となっているのであります。因みに、国際金融機関である世界銀行も、「シンガポールは世界で最もビジネス展開に良い国である」と認知してきているのであります。こうした結果、シンガポールの一人当たり国民所得は6万米ドルを超えており、世界有数の国民所得を有していますが、一方で世界有数の所得格差も存在する国とされており、光と影が交錯する国でもあります。こうした中、私が注目している点はシンガポールの人材開発であります。(つづく)
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