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2007-04-06 00:00
米下院の慰安婦決議の動き
伊奈 久喜
新聞記者
筆者の属する新聞社では社説にとりあげたが、メディア全体の扱いが必ずしも良くなかったので、時間的に遅れた感があるが、BBCが世界27カ国、28000人を対象に実施した各国の好感度に関する世論調査の結果を紹介する。
2006年11月から2007年1月にかけて実施した調査の結果、カナダと日本は好意を持つ人が54%で一位だった。好意を持つ人の比率が最も少ない、つまり世界中で最も不人気な国は、イスラエル(17%)であり、イラン(18%)、北朝鮮(19%)の順となる。中国は42%で6位。米国は30%、ロシアは28%となっている。
日本に対する好意を持つ人の比率が最も高いのはインドネシアの84%、以下、カナダ(74%)、フィリピン(70%)の順。日本に対する好意より悪意が上回る国は中国(好意18%、悪意63%)、韓国(好意31%、悪意58%)の二国だけである。20世紀前半の歴史がそこには反映するが、カナダと並んで好感度第一位の国になった事実の背景には20世紀後半の日本の生き方が評価されたと考えられる。日本に対する好感度が最も高いのがインドネシアという事実は、経済協力の結果を思わせる。フィリピンについてもそうだが、カナダ、米国における対日好感度は、そうではなく、広い意味でのパートナーとして交流が深まった結果だろうか。
米下院の慰安婦決議の動きは、こうした流れをあえて逆行させようとする動きに見える。過去に目をつぶれとはいわないが、戦後60年間に日本が国際社会で積んだ陰徳をそれ以前の話で消去しようとする動きであり、ニューヨークタイムズのオオニシ東京支局長の報道を批判するつもりはないが、シーファー駐日米大使の発言は不適格だったろう。「河野談話から後退すれば破壊的な影響をもたらす」との大使の発言は、安倍首相への善意の警告だったと理解はする。しかし大使の仕事の第一は良好な日米関係の維持である。筆者の周辺でも「慰安婦問題で韓国、中国がものをいうのはわかるが、米国からはいわれたくない」との声が強い。
米国以外のどこの国も議会も米国先住民の立場に関する国会決議などはしない。慰安婦の強制連行の有無をめぐる議論とは別に、日米関係にかかわる双方の人々は、下院決議が日本における反米感情を高める結果になりかねないと警戒すべきだろう。中国の江沢民主席が98年の訪日で「歴史を鏡に」を繰り返し、日中関係が悪化した歴史と重ねて心配するひともいる。
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