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2017-10-31 00:00
(連載2)米国の為替操作国と中韓について
真田 幸光
大学教員
こうした中、今般、米国の財務省が発表した最新の主要貿易相手国の為替政策報告書では、韓国は4月に続き、「観察対象国」(モニタリングリスト)に含まれました。韓国が懸念していた「為替操作国」への指定は回避されましたが、米国による通商圧力に引き続き直面することとなったとも言えましょう。また、米国のトランプ大統領が「貿易報復」を公言してきた中国本土も韓国と同様に「観察対象国」とされており、こうした結果、今回の報告書で「為替操作国(深層分析対象国)」に指定された国はありませんでした。尚、韓国と中国本土のほか、現在は日本、ドイツ、スイスなど5カ国が観察対象国となり、4月に
まれていた台湾は除外されています。
そして、現在、米国は対米貿易黒字(200億米ドル超)、経常収支黒字(対GDP比3%)、為替市場介入(対GDP比で買い越しが2%超)という独自ルールの3条件を適用し、毎年4月と10月に貿易相手国を分析し、議会に報告しており、この3条件を全て満たすと為替操作国、2条件を満たせば観察対象国に分類されるとされている中での決定が上記の中韓に対する決定です。韓国は昨年4月、初めて観察対象国に分類され、トランプ政権発足後初の報告書となった今年4月を含め、4回連続で観察対象国になっています。即ち、今回の報告書では、韓国は経常収支黒字がGDPの5.7%、対米貿易黒字が220億米ドルとなっており、2条件が対象となりました。また、中国本土は3条件のうち、対米貿易黒字だけが条件に該当しましたが、黒字規模が巨額だという理由で観察対象国となっており、中国本土の対米貿易黒字は昨年7月から今年6月までで3,570億米ドルで、2位日本(690億米ドル)の5倍を超えていることが、強く意識されたようです。
こうした状況に対して、韓国国内では、「米国が中国本土を為替操作国と指定する為、適用基準を引き下げれば、韓国も米中貿易紛争に巻き込まれるリスクがある」といった声までも聞かれるようになっています。輸出立国である韓国は確かに主要輸出先である米国に本格的に睨まれると輸出は鈍化、その結果として、経済成長も鈍化し、甚大なる悪影響を受けるリスクを感ぜざるを得ないと思います。
しかし、中国本土は、「米国は、人民元の国際化進展を意識すれば人民元高の進展は回避したいはずである。一方、米国は貿易赤字を意識した場合、人民元高を誘導したいはずである。よって、この両面を解決する回答は見出しておらず、例え、米国が中国本土を為替操作国に認定したとしても、為替レートをいじって中国本土に圧力をかけてくることに関しては自ずと限界がある」と見ているようで、米国のひとりよがりの為替操作国指定に対しては韓国ほどの危機感は示していないものと思われます。さて、今後、如何なる展開が見られましょうや? 注目されます。(おわり)
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